メンタルモデルを変える5つの心とエゴグラム

ゲンキポリタン大学
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システム思考』でメンタルモデルに注目するのには、個人の思考・行動を形成する土台となるものだからです。

メンタルモデルによって思考が形成され、その思考を元に行動が決まり、その行動が(私たちの目の前で起きている)体験を引き起こします。

つまり、私たちの目の前で起きている全ての体験は、メンタルモデルの上に成立しているということになります。自分自身のメンタルモデル、いわゆる「自分自身の思考のクセ」を認識しない限り、間違った思考・行動を克服することはできません。
会社なら、「企業風土」として反映されるので。社員一人ひとりにも言えることであり、求められますが、もちろん、リーダーである経営者自身もこの例外にはありません。

メンタルモデルは、5つの心(自我)のバランス及び個人のライフスタイルと深く関係しています。これを認識するのがエゴグラムです。エゴグラムで知ることができる5つの心の強弱には、それぞれ生育環境の理由があります。特に安全基地である『愛着』の問題は一生に影響するので、『愛着』の問題を解決する上でも、整える必要があります。

「自分自身の思考のクセ』を認識して、克服するには『エゴグラム』を使います。「自分自身の思考のクセ』を他者から指摘されると不愉快になったりしますが、『エゴグラム』を使えば冷静に判断して合理的に克服できます。

5つの心とエゴグラム

私たちは誰でも5人の自分を持っています。
厳格な父親の心、保護的な母の心、社会性のある大人の心、従順な子どもの心、自由で無邪気な子どもの心の5つの自分です。

「5つの自我(心)」とは

CP=厳格な父親の心。正義感が強く理想に向かうもののルール、厳罰的な心。
NP=保護的な母親の心。優しく保護する心。
 A=大人の心。冷静に分析する理知的でコンピュータ的な心。
FC=天真爛漫で創造的。自由で無邪気な子どもの心。
AC=順応する従順な子どもの心。周囲を見ていい子を演じる計算高い心。

オギャ~と生まれて、生まれながらに持っている自分は「自由で無邪気な子ども」だけです。
その他は成人する過程で、身につけることを要求され、学び、身につけ、育てていきます。

「自由で無邪気な子どもの心」こそが本当の自分ですが、もっとも抑圧される機会に溢れています。
抑圧していると「いい子だね」「いい子にしてたね」と褒められます。
自分を放棄することが褒められるという<異常事態>を経験すればするほど内心では混乱が起こりますが、生きるために深く考えません。
また考える能力も人生初期にあるはずもありません。

だからといって抑圧した<無邪気な子ども>が消えてなくなるわけではありませんが、5つの心の強弱ができて、「自分」ができていきます。

5つの心の強弱を測定するエゴグラム

シンクロニシティ 

5つの心の強弱はいつも同じではありませんが、極端に変わることはないのが一般的です。
エゴグラムはその時々の5つの心の強弱を測ることができます。
エゴグラムは自我状態を図にしたものです。

下記の図がエゴグラムです。ある人のある時のエゴグラムです。
このエゴグラムのサンプルは、ある会社が定期的に社員全員のアンケートをとり、エゴグラムにした事例です。

 

このサンプルを提供していただいた会社では、定期的にエゴグラムで得た情報をもとに高すぎる自我を減らし、低すぎる自我を増やし、全体のバランスを整え、生きやすくすることで仕事にも反映させています。

エゴグラムで個人の人生も会社の運命も判断できてしまう

シンクロニシティ

なぜ、エゴグラムで個人の人生が見えてしまうのでしょう?不思議ですよね。

とっても簡単な理由があります。個人を突き動かしているのは潜在意識です。
顕在化できる意識は上の図のようにほんのわずかです。

潜在意識は、癖、感情となって発露しますが、無意識です。

その無意識が顕在意識の行動量を上回ります。
さらに潜在意識には1.5歳までの決意された人間関係の仕方があります。
この仕方が物事を左右していき、1.5歳までの思いを現実のもにします。

高学歴で博士号を取得した人が、1.5歳までの思考回路で判断してるとは誰も思いませんよね。でも現実には多くがそうなのです。つまりメンタルモデルというやつです。

メンタルモデルを整え直すひとつが、エゴグラムです。

厳格な父親の心

CP(厳格な親の心)

【言葉】ダメだよ。バカだな。すべきだ。しなくてはいけない。絶対にしてはいけない.私のいう通りにしなさい。格言やことわざの引用、

【声・声の調子】説教調、批判的、断定的、威圧的、権威的、押しつけ調、ケソカ腰、コブシで机をたたく、尊大、小馬鹿にする、見下げる、ミスを指摘、訂正する、じれったさを露骨に表す、

【 姿勢・動作・表情・ゼスチャー】自己肯定・周りの人否定、独断的、偏見、保守的、排他的、支配的、無視、軽視、規制的、

「厳格な父親」を減らす言葉(使わない)

• あなたの問題だろう

• あなたのせいだ

• どうにかしろ、なにやってるんだ

• 当たり前だろ

• ダメだろ

• しっかりしろよ

類似する言葉を見つけてリストに加えましょう。

「厳格な父親」を減らす態度(使わない)

• こまかいことまで注意しすぎない

• 約束を守れなかった場合や間違いに感情的にならず理由を聞く

• 最後までやり遂げられるようにプロセスに注意しプロセスでサポートする

• 良い点に注目して、いたずらに厳しくしない

• 助けの手を貸さない(貸すようにすることで減らせる)

• 減点主義でユーモアない(ユーモアを発揮すれば減らせる)

保護的な母親の心

NP(保護的な母親の心)

【言葉】
気になるよ。よかったね。よくできたね.。まかせておけばいい。してあげよう。きれいだね。
可愛いよ。可哀相に。 大丈夫、できますよ。

【声・声の調子】同情的、やさしい、愛情がこもる、柔らかい、

【 姿勢・動作・表情・ゼスチャー】自然に体にふれる、抱いてあげる、肩をたたく、手をにぎる、両手を大きく開く、スキンシップ、自己肯定、周りの人を肯定、世話好き、寛大、面倒見がよい、受容的、理解に富む、非懲罰的、やさしい、

「保護的な母親」を育む言葉

• 相手の気持ち、感情を認める言葉を多用する

• よくできたね

• そこがあなたのいいところですね

• いい趣味てすね

• 最近、とうてすか

• あなたは私の(我か家の、我が社の)大事な人てすね。

  • つらいですね、悲しいですね、いやですよね
  • その他類似する言葉を見つけてリストに加えましょう。

「保護的な母親」を育む態度

• プラスのストローク(ふれあい)をギフトする

• 好ましい点をほめる

• 個人的な関心を示す

• 適切な機会をとらえて小さな贈り物をする

• 相手のネガティブな言葉や態度に反応しない

• セルフコントロールを支援する

•遠慮していると感じる場合にサポートしてあげる

大人の心

大人の心

【言葉】いつ。どこで。誰が。どのように。なぜ。と思う。具体的にいうと。ということですか?

【声・声の調子】落着いた声、低い声、冷静なことば

【 姿勢・動作・表情・ゼスチャー】安定したの音調.、間がとれている、姿勢がよい、相手の目と合う、注意深く聞いている、考えをまとめる、事実中心、理論的、合理的、客観的、説明的、情報収集、打算的、

 

自由で無邪気なこどもの心

FC(自由で無邪気な子どもの心)

【言葉】がほしい.。がしたい。楽しいね。好きだ。嫌いよ。かっこいい。ああ、面白いね。

【声・声の調子】感嘆詞、明るい、開放的、大声で、朗らか、

【 姿勢・動作・表情・ゼスチャー】自由、ユーモア、あっさり、自由な感情表現、自発的、活発、よく笑う、ふざける、明るい、伸び伸び、

「自由(無邪気)な子ども」を育む言葉

• それはおもしろそう

• やってみましょう

• 私も仲間に入れてください

• 美味しいですね

•ユーモア、冗談を増やす

「自由(無邪気)な子ども」を育む態度

• 空想を楽しむ

• 楽しい気分に浸る

• 芸術・スポーツ・映画を楽しむ

• 不快感に時間を多用しない

• 人生や人間の明るい面に注目する

類似した言葉を見つけてリストに加えましょう。

 

順応する従順なこどもの心

【言葉】していいでしょうか?できません、どうせ私なんか、するつもりです、悲しい、淋しい、

【声・声の調子】ボソボソ、意識的にはっきり

【 姿勢・動作・表情・ゼスチャー】自信がない、ぐずぐず、遠慮、くどくど、めそめそ、くってかかる、顔色をうかがう、イイ子、ため息、じめじめ、暗い、おどおど、不安、恐怖、憎悪、ひきこもり、よりかかり、要求がましい、自己否定、他律的、依存的(従順)、反抗的、挑戦、屈折した甘え、すねる、恨む、自虐的、自己愛的

疲れを知らない子どものように

人は1日の大半を仕事に費やしています。

ですから、仕事で自我の増減をすることは、自分にも会社にも有効です。

「決めたことはやり遂げる厳しさ(父親の心)」をもって、無邪気な子どもの心で、仕事への挑戦による貢献はとても大切です。

そうすることで自律心が高まり、責任を引き受ける力を楽しめるようになります。

まとめ

5つの心には、その心が強くなったわけがあります。

たとえば<順応する従順なこどもの心>が強いのには、親から叱られないようにする癖が習慣化したケースが目立ちます。仕事の現場では、頼りないと思われる一方で、使い勝手が良いという点で重宝されます。これは一種のサバイバル術で、実際、心ではどう思っているか、態度や表情、言動を鵜呑みにできません。これは本人にとって必ずしも満足のゆくものではないでしょう。

人としてどう生きるのが「し合わせ」なのか、その到達点を目標にして自己マスタリーを磨くことが、人生を振り返ったときに後悔しないために、大切になります。

システム思考』でメンタルモデルに注目するのには、個人の思考・行動を形成する土台となるものだからです。職場は本当の自分に出会えるチャンスに恵まれています。生育環境という狭い範囲から大きく変わるからです。そのためにも、組織で働く個人が哲学する心を職場に広げることで、真のやる気につながり、本当の意味で人生の勝者になれるので、個人を受け入れる会社も「哲学する会社」でありたいものです。
ブッダが「涅槃寂静」の境地に達したように、自己マスタリーによって個人のメンタルモデルも成長が期待でき、会社も競合他社が追いつくことのできない価値ある会社になります。

 

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