社会人基礎力④|「チームで働く力」を育む6つの能力要素

チームワーク ゲンキポリタン大学
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経済産業省の「人生100年時代構想会議」が打ち出した「社会人基礎力」は、言葉からイメージすると新入社員が社会人として身につけつべきスキルのような印象を与えますが、それが思い込みというもので、人生100年を生きる基礎力の意味です。

なので、社会の進展に合わせてどんどんアップデートされる性格のものです。

社会人基礎力は、仕事をするうえで必要な力である12の能力要素を、3つにまとめています。「前に踏み出す力」と「考え抜く力」に続いて、今回は、「チームで働く力」について、特に重要視すべきポイントを見ていきます。

ピカソは「子どもは誰でも芸術家だ。問題は、大人になっても芸術家でいられるかどうかだ。」だと言いました。

経済産業省の「人生100年時代構想会議」が打ち出した「社会人基礎力」は、無形資産の集積と捉えたほうが良さそうです。つまりアートなんです。

帝国主義の亡霊であるスターリンやプーチンの狂気が語るように、近代資本主義世界では,帝国主義の時代を筆頭に,世界各国がしのぎを削り合うだけで,地球として「まとまろう」と言う発想そのものがないことにつながっています。つまりまとまること、平和こそが富なのです。チームワークは、SDGsの魁(さきがけ)であり、地球全体が一つの生命体であって意志を持っているとする発想につながる『一人一宇宙』の基礎です。

自然は私たちに成功させようと、とても一生懸命試みてくれているが,自然は私たちに依存はしない。私たちは唯一の実験材料ではない。バックミンスター・フラーはそう言ったね。

 

チームワークに欠かせないスキルと自己管理


宇宙船地球号
とは、地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船にたとえてバックミンスター・フラーが提唱した概念・世界観です。また「伝統的な経済学は一部に過ぎない」と考えたケネス・E・ボールディング(イギリス出身のアメリカの経済学者)は経済学にこの概念を導入しました。帝国の妄想に取り憑かれたプーチンのウクライナ侵略は、この対局にあります。

チームワークに欠かせない能力ひとつに規律性があります。約束を守ることの外に「自律性」も含まれます。日本の従来型だと「手伝いあう」状態のことであり、アメリカだと「手伝わない」状態のことです。同じ言葉なのに全く逆になるのがおもしろいですね。

手伝わないけど繋がっているのが、個人に依存しない宇宙船地球号、一人一宇宙なんだ。

手伝わない理由は、
①手伝われることによって、本人の能力として不足する知識と経験とが上司に理解されず、教育の追加が行なわれない。
②本人もそのまま能力不足が続く、
③手伝ったほうは本来、休息または次の作業のいずれかをサボったことになってしまう
という三つのマイナスが生まれてくるからです。
分業には、決まりがあり、分業をどうするのがよいかは、チェーンストア経営の先進国であるアメリカではすでに一世紀を超す長い歳月にわたって、経験法則が完成しているのです。ここでは、この点も踏まえて3つの能力、12の要素と併せて考えます。

「チームで働く力(チームワーク)」の能力要素

チームで働く力

チームで働く力には「①発信力②傾聴力③柔軟性④情況把握力⑤規律性⑥ストレスコントロール力』の6つの能力が必要だと経産省は打ち出しています。

  • 発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
  • 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
  • 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
  • 情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
  • 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
  • ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

多様な6つの能力要素ですが、宇宙船地球号の一員としてチームワークの創出と維持にはそれぞれ欠かせない要素です。

宇宙船地球号

スキルとして習得しやすい「発信力」と「傾聴力」

チームワーク

「発信力」と「傾聴力」は、トレーニングをすることでスキルとして身につけやすい能力です。そのため、教育研修のテーマとしては“定番”でもあります。「分かりやすく伝える方法」や、「意見を丁寧に聴く方法」は、身につけている人とそうでない人との差が顕著に現れます。

先輩や上司とのコミュニケーションはもちろん、後輩の指導などにも欠かせないスキルです。また、メールや提案書、プレゼンテーションや商談など、「伝える」「聴く」といった能力は実際の“会話”にとどまりません。で、社会人基礎力の能力要素についての自己評価をご案内しましたが、この2つの要素が「弱み」だと感じた方は、ぜひスキルを学んでください。

発信力

発信力を強みにするには何をすればよいのでしょうか。発信と聞くと難しいイメージがありますが、発信力とは、文字通り、自分の意見を発信する能力のことです。 社会人基礎力では、発信力を「自分の意見を分かりやすく伝える力」と定義し、行動例を「自分の意見を分かりやすく整理した上、相手に理解してもらえるように的確に伝える」としています。

ここで重要なのは「発信」と言う言葉に惑わされないことです。
大切なのは「相手に理解してもらえるように」という点です、つまり「受信力」です。
発信すればいいのではなく、情報を受け取った相手が分かりやすいかどうかがポイントであると理解して発信力=受信力を強化しましょう。といっても相手の受信力なんて解りませんよね。そこを基準にして受信力を考えるとたちまち壁になるのが、見下してはいけないという一線がどこにあるのか見極め力です。

どんなに巧みな文章でも、上手に話しても相手が理解できていなければ発信力があるとはいえません。最近では、SNSなどで文章を公開している人が増加していますが、そこに書いている文章がどれだけ読み手に分かりやすく、伝わりやすいかを考えるとスキルアップの必然を感じる方がたくさんいるはず。

自分が言いたいことをそのまま書き込んでいませんか。まずはそこが第一歩としたら、そこから相手が理解しやすいような発信を心掛けましょう。そのコツは相手目線に立つことです。つまり自分・自分・自分を捨てること。相手に寄り添うことが見極め力のスタートになります。それは伝え終わったときにも続いているエピローグ、まとめ、あとがきになるのではないでしょうか?実はこれがいちばん難しいといつも悩みます。

傾聴

傾聴は、米国の心理学者でカウンセリングの大家であるカール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱された概念で、翻訳のズレで理解が難しくなっていますが、「積極的傾聴(Active Listening)」というと解りやすいのではないでしょうか?

カール・ロジャーズ氏は、カウンセリングが有効であった事例から原理原則として聴く側の3要素①「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」を発見、これらの人間尊重の態度に基づくカウンセリングを提唱しました。

1.共感的理解 (empathy, empathic understanding)
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。つまりアサーション・コミュニケーションの裏返しです。

2.無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。つまり禅・マインドフルネスの基本的な態度です。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができます。

3.自己一致 (congruence)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても実感と言葉、態度が一致していることを指し「純粋性」を表します。話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する真摯な態度で傾聴することをいいます。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致、自己責任に反する態度です。アサーション・アサーティブの4本柱のひとつ「自己責任」ですね。

カウンセラーの治療的な在り方を示しており、カウンセリング場面で生起する様々な感情に気付いており、自らそれを否定せず十分に受け入れている状態と自己一致と呼びます。

つまり「傾聴」とは、言葉をよく聴くということではなく、非言語の態度からも可能なんですね。私は、それがもっとも大切だと思います。その上で言葉をよく理解するではないかと思います。言葉を聴く前にすでに知っているはずです。知っていることを知らん顔をして自分・自分・自分を押し通す。これがモラル崩壊の起点です。つまりどこで習ってきたのか、人生をつまらなくする手口です。裏返せばアサーション、アサーティブそのもの。率直・誠実・対等・自己責任の4本柱の実践です。

傾聴は、愛のメッセージそのもので、現代に続々と誕生する国家資格に通じています。反して現代人は自分・自分・自分のオンパレードにどっぷり浸かってモラル崩壊の領域にまで達しています。このバランスを整えるのが楽しい暮らしを実践するスキルになりそうです。

柔軟性・情況把握力・規律性

4つのライフスタイル

『チームで働く力』をデザインするのは楽しいことです。チームワークで大切なのは、『私はOK、あなたもOK(自他肯定)』のスタイルです。自己否定も他者否定も自他否定もチームで働く上で害になるスタイルです。

チームワークの柱である柔軟性は、人と人が共働、協働する際に問われる力です。チームワークの場合には、自分が思った通りにコトが進むのは稀です。無為に仲良しプレーに走らず、価値観や方向性、事実や物事に対する解釈の異なった人の意見を尊重し受け入れ、『私はOK、あなたもOK』のライフスタイルを貫き、適切な対応、打開策がとれる力が柔軟性です。

これにはキャリアを重ねても終わりのない具体的なコミュニケーションのスキルアップが欠かせません、その骨格には、人それぞれの境遇を重んじる心が欠かせません。

10人いたら10人の人生を生きるのですからチームワークは面白いのです。人生の見えないチームワークなんて無味乾燥のクソです。また、予期せぬ出来事や状況把握力・状況への対応力、規律性もこの柔軟性の根本に含まれます。

チームで働く力(チームワーク)には、発信力・傾聴力、柔軟性、情況把握力・規律性、ストレスコントロール力の6つの能力が必要ですが、チームワークの定義は日米では真逆です。

分業をどうするのがよいかは、チェーンストア経営の一世紀を超す長い歳月で、すでに経験則で明らかになっている決まりがあります。

しかし忘れてならないのは人それぞれの境遇を重んじて、それぞれは拠って立つチームにすることです。チームワーク(=宇宙船地球号)にはチームを構成するヒトの人生を抜きにして語れません。

「ストレスコントロール」とは自己管理

マインドトーク&マインドワンダリング

ストレスコントロール力は、社会人基礎力では「ストレスの発生源に対応する力」と定義されていますが、対応とは、ストレスの発生源を“消し去る”といった意味ではなく、コントロール、すなわち“自己管理”する能力になります。行動例では、「ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する」と紹介されています。

ストレスコントロールの手法は多様ですが、どれもストレスの発生源に対する自分の見方や受け取り方、そしてマインドトークを変えることで、コントロール力を身につけようという考え方が根底にあります。具体的な方法は、「レジリエンス」「コーピング」「マインドフルネス」「リフレーミング」といったテーマの書籍や研修で学ぶことができます。
ここでは、代表的な「レジリエンス」についてご紹介します。

ストレス対処スキル/レジリエンス

レジリエンス

レジリエンス(Resilience)の意味は、ストレスの圧力を“跳ね返す”力です。
回復力や復元力とも訳されますが、ストレスという力で“折れる”ことなく、上手に付き合っていくための力です。レジリエンスを高めることで、ストレスに直面しても、集中力や生産性を保ちながら対応できるようになります。

跳ね返す力が弱いと自律神経の乱れから、ひどい場合には「死に至る病」に至ります。では、跳ね返す力の源泉とも言える「前に踏み出す力」「考え抜く力」を見ていくことにします。レジリエンスの6つの要素にもなり得る「前に踏み出す力」「考え抜く力」はストレスの源泉でもあり、コーピングでもあるからです。
毒を持って毒を制するタフさこそ宇宙船地球号のポリシーです。

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自律神経失調

社会人基礎力を見直す

マルチステージ

経済産業省の「人生100年時代構想会議」が打ち出した「社会人基礎力(=3つの能力/12の能力要素)」を4回に分けて、その中でも特に重要視すべきポイントについて見てきました。
ともすれば長い人生。変わり続け、求めらるスキルが変遷する中で、自分の進む方向性を見失いがちになる能力を繰り返し見直すことで、成長への糸口にしたいものです。

人生脚本を書き直さない限り「社会人基礎力」は身につきません

人生脚本の書き直し

ゲンキポリタン大学

般若のゴエス

「社会人基礎力」(全6回)

コラム

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般若のゴエス|万能感でやる気ホルモン・テストステロンを垂れながせ
人生100年、200年のヒマつぶしといっても、時間がたくさんあるわけではありません。睡眠29%、仕事11%、教育3%、生活(家事・メンテナンス・リラクゼーション)57%を除けば残るのは10%。先人が解き明かした原理原則で短期集中で片付けたいですね。ファンタジーな万能感も使い方で100人力。
般若のゴエス|アサーション・コミュニケーション|万能感って?
「父親のことを二度と卑怯だなんて言うな。お前の親父はおれみたいに銃を持たなくても責任感のある勇敢な人だ。家族全員を守っている。親父たちはみな重い責任を負って墓に入るまでそれを守り続けているのだ。人に言われてやるンじゃない。お前たちを愛しているからだ。オレにそんな勇気はない。毎日畑でラバのように汗を流して働くことこそ本物の勇気だ。」万能感を捨てて無力感を受け入れる。ブロンソンはそう言いました。
般若のゴエス|アサーション・コミュニケーション|自己責任について
アサーションとは自己主張という解釈が広がっていて、そのため言いたいことをいえばいいんだと誤解している方も少なくありません。結論からいうと違います。アサーティブの4本柱と言われるように、率直・誠実・対等を束ねているのは自己責任です。つまり「自由」ということです。自己責任とは良識であり自由なのです。
般若のゴエス|アサーション・コミュニケーション|対等について
コミュニケーションに於ける対等とは、主語が同じであることが原則です、聞いた方の主語と答える側の主語が違うと会話の範囲がずれてくるので対等な会話ができなくなります。対等とは精神的なものではなく、会話の技術です。技術なので勉強すれば改善できますが、認識を間違うとパワハラと誤解されます。
般若のゴエス|アサーション・コミュニケーション|誠実について
経営の神様ドラッカーは、誠実さが欠けていたら組織は腐敗するといいました。同じことは個人や家庭にもいえます。アサーティブの4本柱のひとつである誠実さ(Integrity)とは何でしょう?「誠実な人」は最高の褒め言葉とされています。誠実なヒトは見えないことも見ようとします。聞こえないことも聞こうとします。
般若のゴエス|アサーション・コミュニケーション|率直について
アサーティブ4本柱(率直・誠実・対等・自己責任)から「率直」についてご説明です。アサーティブであるために、率直・誠実・対等・自己責任の4本柱それぞれを具体的に理解することは有効です。ここではPAC交流がどうなっているか図解で説明します。
般若のゴエス|自分を忘れるアサーティブ・コミュニケーション
ヒトの一生とは、起きて・食べて・働いて・寝るだけの繰り返しは、この世に生をうけた生き者すべてに共通した行ないです。アサーティブ、アサーションなコミュニケーションとは、率直・誠実・対等・自己責任を念頭に自分にも相手にも同様に自己主張することです。わざわざアサーティブ、アサーションと念押しするのは、そうでないヒトが多いからです。

まとめ

  • バックミンスター・フラーが宇宙船地球号で提唱した概念・世界観ようにチームワークの本質はまとまること、平和こそが富なのです。これは今日のSDGsの魁(さきがけ)であり、地球全体が一つの生命体であって意志を持っているとする発想につながる『一人一宇宙』の基礎です。
  • 経済産業省の「人生100年時代構想会議」が打ち出した「社会人基礎力」は、いまもアップデートされ続けています
  • チームで働く力(チームワーク)には、発信力・傾聴力、柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力の6つの能力が必要ですが、チームワークの定義は日米では真逆です。
    分業をどうするのがよいかは、チェーンストア経営の一世紀を超す長い歳月で、すでに経験則で明らかになっている決まりがあります。
  • ストレスにはストレス対処スキルがあり、具体的な方法は、「レジリエンス」「コーピング」「マインドフルネス」「リフレーミング」といったテーマの書籍や研修で学ぶことができます。どの方法にも、ストレスの発生源に対する自分の見方や受け取り方、そしてマインドトークを変えることで、コントロール力を身につけようという考え方が根底にあります。
    ここでは、代表的な「レジリエンス」についてご紹介します。

 

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