200年ライフお金のゴエス|ライフシフトする老齢給付

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ライフシフト

 

200年時代のライフシフトのクライマックスは、最後の仕事をした後に、ハッピーリタイアを迎えます。

このときに資金をどうするか、ライフプランでも重要な課題になります。
そこで、「どうするか」となりますが、「どうするか」には深く広い意味があります。個人差がありすぎるからです。
「テレビを見て余生を過ごす」というのもありましたね。しかし、いまはそんな時代ではありません。

まだまだやりたいことがいっぱいのはずです。だからハッピーリタイアです。
ハッピーリタイアできるのかどうか?
日本の現状をチェックしてみました。「老齢給付」の現在です。

老齢給付 

リスクマネジメント

1.老齢基礎年金額・老齢厚生年金額等の修正 

平成25年9月までの老齢基礎年金および老齢厚生年金等は、本則により計算される年金額よりも2.5%多い支給が行われています。

平成24年11月に、この特例的支給額を本則額に戻すための法律が成立し、平成25年10月支給分より3年度かけて年金額の減額措置が施行されました。

平成27年4月の最終引下げ以後は、マクロ経済スライドを組み込んだ調整期間に移行し、年金額の計算においては、本則の計算式に調整率を乗じて算出することになりました。 

【マクロ経済スライド】 

マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

68歳に到達した対象者に対して賃金変動率、物価変動率を基準に、毎年度の年金額を決定します。

年金額を決める際、物価や賃金だけでなく、年金の支え手である現役世代の減少や、高齢化により年金を受ける期間が延びることなどを反映させる目的があります。

本則の老齢基礎年金額は780,900円×改定率で表されますが、マクロ経済スライドを導入した調整期間では780,900円×改定率×調整率となります。 

改定率は毎年度改定されますが、改定率の中に調整率を含んで「改定率」と表される場合もあります。 

2.老齢基礎年金の受給資格期間 

(1)原則 

老齢基礎年金は、原則的には、保険料納付済期間と保険料免除期間が 10年あれば、65歳に達したときから支給されますが、特例として合算対象期間を含めて10年あれば老齢基礎年金を受給することができます。 

(2)特例(合算対象期間) 

受給資格期間には反映されますが(合算する)、国民年金の保険料を納付していないことから老齢基礎年金の額には反映されない期間です。

昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間のうち、厚生年金保険の被保険者の配偶者であり国民年金への加入が任意とされたために加入しなかった期間や、昭和36年4月31日から平成3年3月31日までの期間のうち、昼間学生のため国民年金の適用を除外されていた期間のうち、国民年金に任意加入しなかった20歳以上60歳未満の期間などが合算対象期間となる。 

3.老齢基礎年金の基本年金額 

老齢基礎年金は、40年加入し、そのすべてが保険料納付済期間である場合に満額の基本年金額『780,900円×改定率(0.998)=779,300』が支給され、保険料の未納や合算対象期間がある場合、減額されます。

(1)老齢基礎年金の計算式

(平成30年度) 779,300円× A+B 

加入可能年数(最高40年)×12月 

(2)加入可能年数 

一般には20歳から60歳までの40年(480月)である。ただし旧国民年金が始まった昭和36年4月1日に既に20歳を越えていた人(昭和16年4月1日以前生まれの人)は、20歳から60歳までの40年間の加入期間を満たすことができない。そこで昭和16年4月1日以前に生まれた人は、生年月日に応じて加入可能年数が25~39年に短縮されました。 

昭和16年4月2日以降生まれの人は、昭和36年4月1日に20歳未満なので、加入可能年数は40年になります。 

<加入可能年数> 

大正15年4月2日~昭和2年4月1日・・・・・ 25年 

大正 2年4月2日~昭和3年4月1日 ・・・・・ 26年 

昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 ・・・・・39年 

昭和16年4月2日以後・・・・・  40年 

(3)振替加算 

「昭和41年4月1日以前」生まれの被扶養配偶者(妻)は、旧法では任意加入でしたが、新法では強制加入になりました。
強制加入によって、65歳以降は自分の老齢基礎年金を受け取るようになりました。

しかし、旧法で任意加入していなかった場合、その期間は合算対象期間とされ年金額には反映されません。
そのため、妻の年齢が高いほど年金額は低くなる可能性があります。この不足分を補うものが振替加算です。

老齢厚生年金の受給権者等(夫)で240月以上の加入期間がある者に、「65歳未満の妻」がいる場合は、夫の老齢厚生年金額に「加給年金額」が加算されますが、この「加給年金額」は、妻が65歳に達した場合、支給されなくなります。

代わりに妻の老齢基礎年金に加算が行われることになりますが、夫の老齢厚生年金の加給年金額を振り替えて加算するので、「振替加算」と呼んでいます。なお、振替加算の額は配偶者の生年月日により決定されます。

4.老齢基礎年金の繰り上げ支給 

老齢基礎年金は、原則として65歳から支給されます。

希望する場合には、「厚生労働大臣に請求」することにより、60歳から65歳に達するまでの間で、繰り上げて受給することができます。
ただし、年金額は「減額」される。

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Naoman こんにちは、人生200年時代のマインドフルネスなファイナンシャルプランナー、ルーティンワーカーなゲンキポリタンです。 フォトのGus RuballoにUnsplash 不動産とは「土地」お...

老齢基礎年金の繰り上げ メリット・デメリット

(1)生涯受給総額から見たメリット・デメリット

まず受給額の増減%に注意してください。繰り上げ支給した場合、月0.5%の減になり、繰り下げした場合は、月0.7%の増になります。

  請求可能期間 請求単位 受給額増減(月当り)
繰り上げ支給 60~64歳 1か月 ▲0.5%
繰り下げ支給 66~70歳 1か月 0.7%

年金は終身で受給できますから、受給総額を比較して、損益分岐点を見てみます。

ケース1 本来の65歳受給を60歳に繰り上げ請求するケース

5年(60か月)の繰り上げ請求を行なうので年金受給額が30%(=0.5%×60か月)減額となります。
この場合、76歳を超えると繰り上げ請求した場合の受給累計額が本来の受給累計額を下回ります。
つまり76歳を超えるまで生きるとしたら、繰り上げしない方がお得です。

ケース2 本来の65歳受給を70歳に繰り下げ請求するケース
5年(60か月)の繰り下げ請求を行なうので年金受給額が42%(=0.7%×60か月)増額となります。
この場合では、81歳を超えると繰り下げ請求した場合の受給累計額が本来の受給累計額を上回ります。
つまり81歳を超えるまで生きるようなら、繰り下げした方がお得ということになります。

(注)比較1、2とも毎年の年金受給額が変わらない前提での単純計算です。実際の受給額は少しずつ改定(減額)されます。

 このように比較すると長生きするのなら繰り下げ請求をした方がよさそうです。
重い病気にかかり余命宣告された人であれば繰り上げ請求する方が合理的な判断になります。
保険会社のように大乗の法則を使うのも手ですが、個人のことなのでご自身の健康は自分がいちばんご存知のはず。

(2)個人の収支や資産状況から見たメリット・デメリット

繰り上げ支給は生涯の年金額が減額されるというデメリットがあります。
知人は早く貰った方が得だといいピンコロでめでたく急死されました。

 繰り上げ支給は本来の支給開始年齢である65歳より早く受給することができます。
60歳~65歳の間に所得や資産が少なく経済的に厳しい状況にあるのであれば、収入を確保できるメリットとなります。

 一方、繰り下げ支給は支給開始が遅れるというデメリットはあります。
生涯の年金額が増額されるので、80歳、90歳と長生きした場合でも増額された年金を受給し続けることができるメリットがあります。
60歳以降も働いてそれなりの所得がある、または資産に余裕があるという人に向いています。

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(3)制度面から見たデメリット (他の年金への影響があります)

繰り上げ支給時のデメリット

 繰り上げ支給はもともと65歳支給開始の年金を前倒するで、65歳までに請求できる年金が請求できなくなります。

●事後重症による障害年金

 障害年金は障害の原因となった疾病・負傷の「初診日」の前日における保険料納付状況と、その1年6か月後の「障害認定日」の状態により受給の有無が決定します。
「事後重症」とはこの障害認定日に障害年金に認定されなかったものの、その後障害の悪化により再請求することを言います。

事後重症は65歳まで請求できますが、繰り上げ請求すると65歳前でもその時点以降できなくなります。

●寡婦年金

寡婦年金とは遺族基礎年金の受給権のない妻に支給される年金です。
60歳~65歳の期間受給できますが、繰り上げ請求した時点で受給できなくなります。

遺族年金

遺族年金とは、国民年金法と厚生年金保険法等を元に、被保険者が死亡した際、残された遺族に対して支給される日本の公的年金のことで、現在は遺族厚生年金と遺族基礎年金の2種類があります。
(以前は遺族共済年金という制度もありましたが、現在は遺族厚生年金と一元化されて運用されています)。

  • 遺族基礎年金:国民年金の被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした人が死亡した時に支給される
  • 遺族厚生年金:会社員や公務員など厚生年金加入者が死亡した時に支給される

繰り下げ支給時のデメリット

●加給年金

 厚生年金に20年以上加入していた人が受給する老齢年金では、年下の配偶者がいると65歳(または定額部分発生時)から加給年金が上乗せ支給されます。

繰り下げ請求して66歳~70歳から受給する場合、老齢年金は増額されますが加給年金については増額の対象にはならず、結果として繰り下げた期間分の受給額を放棄することになります。

3.繰り上げ・繰り下げ支給に関するワンポイント

●厚生年金は従来通り、基礎年金だけ繰り下げ請求する

 厚生年金受給者の場合、繰り上げ請求は厚生年金と基礎年金を一緒に行なう必要がありますが、繰り下げ請求は別々に(または片方だけ)できます。

制度面から見たデメリットとして繰り下げ時に加給年金は増額の対象になりませんが、厚生年金は従来通り65歳から受給し、基礎年金だけ繰り下げれば加給年金が全額受給できます。そうすることで、基礎年金部分は多めに受給することができます。

こまめが大切です

●夫は65歳から受給し、妻だけ繰り下げ請求して70歳から受給

 夫婦の世帯なら、夫は従来通り65歳から受給し、妻だけ繰り下げる方法もあります。
男女の平均寿命を考えた場合、夫が先に死亡し残された妻がその後ひとりで生きていくのがデータに出ています。
女性の年金を繰り下げることは有効な受給方法です。(死亡した夫が厚生年金受給者であれば、遺族厚生年金が受給できます)

200年ライフお金のゴエス|年金制度を学習する
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