社会人基礎力|「前に踏み出す力」のコーピングには「内側の力」

ゲンキポリタン大学
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<社会人基礎力>でいう<3つの能力/12の要素>と3つの視点<どう活躍するか>、<何を学ぶか>、<どのように学ぶか>・・・これらは無形資産そのものです。無形資産(活力資産・生産性資産・変身資産+パートナー資産)は、ライフシフトに欠かせません。つまり<3つの能力①前に踏み出す力②考え抜く力③チームで働く力>を身につけるプロセスは、ストレスを受け入れ、克服するプロセスともいえます。だからストレッサー対策としてHygge(ヒュッゲ)やウェルビーイングが大切になります。これらは「ストレッサー」に気づき,「認知」して「ストレス反応」に自覚的・戦略的に対処するストレス・コーピングの役割を担っています。

なぜ、わざわざコーピングという言葉を使うのでしょう?

気まぐれな対策ではなく、ポジティブに自覚的・戦略的に体系づけるからです。

ストレッサーとストレス反応

一般的によく使う「ストレス」という言葉は、もともと「外部からの圧力によって生じる 物質の歪み」を意味する物理学用語です。

一方、心理学では「ストレス」を「ストレス反応」と 「ストレッサー」に分けて考えることがあり、例えとしてボールがよく使われます。
ボールを押して変形した状態を「ストレス反応」、ボールを押しているものを「ストレッサー(ストレスの原因)」といいます。
人間で考えると、「イライラする」「焦りや不安を強く 感じる」「頭痛や腹痛がある」「眠れない」「じっとしてい られない」・・・・といった心や身体、行動の変化が「ストレス反応」、その原因となる出来事や状況が「ストレッサー」です。ストレッサーにはいろんな要因があります。

[ストレス反応の原因となるストレッサー】

  • 人間関係などから生じる緊張、 不安、不満、怒りなど 対処可能な範囲を超えた要求などの心理的・社会的ストレッサー
  • 暑さや寒さ、住居環境などの物理的ストレッサー
  • 睡眠不足、過労、病気やケガなど生理的ストレッサー   

[ストレス反応】
「ストレス反応」は誰にでも生じるものです が、それが強すぎたり⾧く続いてしまい、不自然な状態 のままになっていると健康にも影響が出てしまいます。

  • 身体:頭痛、腹痛、疲労蓄積、睡眠障害
  • 思考:状況判断や意思決定が鈍る
  • 感情:悲しみや落ち込みが大きくなる、 イライラする、焦りや不安が強くなる、    抑うつ感など 行動:落ち着かなくなる、集中できなくなる、
       食欲不振・過食など

心理・社会的ストレッサー

心理・社会的ストレッサーは、仕事・家庭など人間が社会生活を営む上で生じるものです。日常生活で「ストレス」と呼んでいる多くは、この心理・社会的な精神的なストレッサーを指しています。職場での人間関係や社会的立場、など、さまざまな要因がストレッサーとなり得ます。

社会人基礎力の「前に踏み出す力」のストレ洲の場合、ほとんど心理・社会的ストレッサーに集中しているはずです。

物理的ストレッサー

物理的ストレッサーとは、物理的な環境刺激によるものを指します。

具体的には、温度・音・光などが挙げられます。たとえば、オフィスにおける騒音やパソコンのディスプレイによる明るい光などです。また、暑すぎたり寒すぎたりするエアコンの温度なども含まれます。

寝る時間が遅く夜更かしによる睡眠不足、交代勤務など、生活習慣によるダメージは物理的な環境刺激によるものが多く、免疫力が低下します。

女性に多い便秘は、免疫力の低下から身体がバランスを崩しているサインといえます。腸内に溜まった毒素が元で炎症の原因になるだけでなく腸を傷つけます。「○○炎」と呼ばれる症状は、炎症を抑えるために副腎が働いていることを意味します。

化学的ストレッサー

化学的ストレッサーとは、化学物質による刺激を指します。具体的には、公害物質や金属、アルコールやタバコ、食品添加物などです。化学物質による目・喉・鼻への刺激、室内の酸素欠乏もストレッサーとなります。たとえば、オフィス内での喫煙やニオイの強い昼食などがストレッサーとなることもあります。

洗濯槽のドラム、バスマット、頻繁に洗っているはずのまな板などの目に見えない所にも危険が潜んでいます。弁当箱やタンブラーのパッキンなど、水分のある所には気をつけましょう。

生物的ストレッサー

生物的ストレッサーとは、生体の免疫反応を引き起こす刺激を指します。具体的には、花粉のようなアレルギー反応や咳や痰を引き起こすウイルスや細菌を指します。

気密性の高い部屋は、湿度が高いなりがちで、カビに要注意です。
カビといってもマイコトキシン は毒です。カビの二次代謝産物として産生される毒で、現在、300種類以上のマイコトキシンが報告されている毒です。
人や動物に対して 急性もしくは慢性の障害をを引き起こし、副腎の負担が増えるので要注意です。

精神的、肉体的、環境的ストレスのうち、自分で治せるものは治すように心がけましょう。マインドフルネスでは治せない領域があるという意味です。

ストレス・コーピング(coping)

ストレスを引き起こす要因が「ストレッサー」です。しかし,同じストレッサーであってもその捉え方は人それぞれです。その「認知」のあり方によって,「ストレス反応」は変わります。このストレスのメカニズムをよく頭に入れましょう。
「①ストレッサー」,「②認知」,「③ストレス反応」に自覚的・戦略的に対処するのが④ストレス・コーピングです。

4つのストレス・コーピング

  1. ストレッサーに気づくコーピング
  2. ストレッサーを取り除くコーピング
  3. 認知を変えるコーピング
  4. ストレス反応を軽減するコーピング

自覚的・戦略的なコーピング

なかでも「前に踏み込む力」で生じるストレスの場合、認知を変えるコーピングがおすすめです。なぜならこの場合、一時的なストレスではなく、自身のあり方を変える本質的なストレスになるからです。ストレッサーの捉え方を自覚的に変えるのが効率的です。

例えば,<前に踏み込む力>を身につけたら苦手を克服できるというポジティブな面と戦略的に向き合うからです。それには視点や発想を意識的に変えることが生じます。その際,人に相談をして,新しい視点を得るといった学びの姿勢そのものを拡大することも必要になります。自覚的・戦略的に捉え方を変えることがコーピングになるからです。次にあげるアサーション/アサーティブなコミュニケーションもそのひとつです。

アサーション/アサーティブ

自分の考えや気持ちを大切にしつつ、そのうえで相手の考えや気持ちも尊重する、そんな自己表現やコミュニケーションを<アサーション>といい、アサーションができている状態を<アサーティブ>と呼びます。
アサーション/アサーティブが得意なヒトと苦手なヒトがいますが、ライフスタイルに由来します。

4つのライフスタイル

アサーションなコミュニケーションができるヒト、できないヒト、アグレッシブなヒトなどがいますが、その違いはライフスタイルの違いにあり、ライフスタイルの違いはヒトには生育環境で、身についた5つの心のバランスの違いに起因します。

5つの心のバランス

以上の5つの心のバランスにより以下のタイプに分類されます。

  • 厳格な父親の心が強いタイプ
  • 保護的な母親の心が強いタイプ
  • 大人の心が強いタイプ
  • 自由で無邪気な子どもの心が強いタイプ
  • 従順な子どもの心が強いタイプ

従順な子どもの心が強いタイプに、社会人基礎力でいう<前に踏み出す力>を期待するのはストレッサーになるので、無理がありますが、自分で変わることができるので諦める必要はありません。

たとえばアサーション・コミュニケーションを磨くのも手段のひとつです。

1.客観的な事柄や状況を説明し、相手と共通  理解を持てるように伝える。

「〇〇の状況です」

2.自分はどう思ったか、自分の気持ちを伝える。その際には、相手への共感を示す配慮も大切です。

「〇〇と思います」

3.提案や主張したい事を、あいまいにせず、なるべく具体的に伝える。

「〇〇したいです」

4.必要に応じていくつかの代替案を用意したり、譲歩できる事を整理して明確にしておく。

「もしくは、〇〇ではどうでしょうか」

上記のように、自分の内側にある力を使って、具体的に案を出すコミュニケーションを励行することで、アサーティブな自己表現を身につけることは、ストレスの予防やセルフケアになり、職場の空気も変わる要因になります。

内側の力

アサーション、アサーティブに関連したアプローチからおわかりいただけたように、実践を積み重ねることで個人の「内側の力」を身につけ、育てていくことは可能です。前に踏み出す力を身につける、強化する、ストレスに負けないようにするには、どのような行動をとることが今までとは違った自信につながるのかを思い出してみましてみましょう。

(1)現実を認識する

前に踏み出す力にストレスを感じる場合、現実から目を背けていると結局は自分で自分の首を絞めるような苦しい状態に堕ちてしまうということを覚えておきましょう。なぜなら、何もかもが完壁に満足のいく状態というものは存在しないからです。不安であるにもかかわらず自信がある振りをする、不愉快に思っているのにまるで満足しているかのように微笑む、反対であるにもかかわらず賛成の意思表示をする、心配なのにその気持ちを無視する、という態度をとり続けることは、現実とまっすぐ向き合っていないことになります。

現実に起きていることに対して何もできないとしても、自分を偽ることをやめれば||「私はいま起きていることが気に入らない、これ以上我慢できなどとはっきり認識すれば「内側のカ」という炎に酸素を送ることができます。

(2)不安と率直に向き合う

多くの人は、自分が不安であってもそうでない振りをします。
「力強い」人格を保つうえで、自分が不安になっていることを認めればマイナスの影響があると信じているからです。しかし、不安という感情を率直に認めて折り合いをつけることは、困難な状況に対応する際の重要なステップとなり、当初の恐怖を克服して前に進む助けにもなります。

(3)感情を表現し、伝えることを学ぶ

感情は知性と同じように人生において必要なものだとわかれば、他人の行動への自分の反応をより良く理解することができます。そして非難したい衝動を誰か他の人に向けるのではなく、自分の感情として責任が持てるようになります。自分の心の中にある気持ちを認識すること、適切なのか、過剰反応かを知ることによって、感じていることをより明確に表現することができるようになります。

(4)相手と争わずに異議をとなえることを学ぶ

これは相手と対等な立場を維持するうえで、もっとも実行が難しいひとつです。
自分がどれほど明確な意思を持っていたとしても、自分と異なる意見を持つ権利は誰にでもあります。他の人より自分ははるかに正しい知識や情報を持っていると考えてしまうと、「私は正しい、あなたは間違っている(私はOK,あなたはNO)」というアプローチをとってしまい、相手との争いは避けられないものになります。

むずかしい状況の中で自分の意見をはっきり主張できなければ、争いに負けて、自分の言うことを聞いてもらえなかったと感じるでしょう。
一方、沈黙を守って大多数の意見に身を任せるならば、自己評価は落ち込むでしょう。お互いの意見や価値観の相違を認め合うことを学べば、自分と異なる意見を尊重しながら生活することが今より容易になります。

(5)不当な批判に異議をとなえる

自分に対して言われたり、暗示さたりした不当な批判に反論することができるにもかかわらず、言葉を飲み込んでしまうことはよくあります。しかし、不当な批判に反対を唱え、なおかつ相手に対してコミュニケーションの扉は開けておくことは可能です。大事なことは、そうすることで、自分の境界線を明確で柔軟なものにすることができるということです。

(6)自分の限界を設定する

境界線というのは、自分がどこで始めどこで終えるかを相手に知らせるものです。設定するということは、「ノー」と言うこと、「やめて欲しい」「そこまでで十分だ」、または「それ以上はやりすぎだ」と本気で相手に伝えることを意味します。
それができなければ、自分の「内側の力」を相手に譲り渡してしまうことになります。自分自身の、個人的な、身体的な、そして精神的な境界線を見つけることは、本人にしかできないことです。

自分の境界線を明確にすることは、精神的に自立する手助けとなります。精神的自立とは、誰のことも意に介さないということではなく、たとえば相手が自然な感情を持つことを認め、なおかつその感情から一定の距離をおくことができる能力のことです。この能力は、反対意見が出されても自制心を失うことなく自らを持ちこたえる助けとなります。それがあれば、沈黙や気まずさを切り抜けることができ、無意味な会話で沈黙を急いで破ろうとしたり、その場の雰囲気を和らげようと無理をしたりしなくても済むのです。

(7)第一歩を踏み出す

ただ待っているのではなく、最初の一歩を踏み出すことは、「内側の力」をつけていく大きなステップとなります。それは個人の精神にとって、真の強壮剤なのです。思い悩んだり、はっきりした態度をとらなかったり、心配したり、電話をとるのを避けたり、誰かと出会うことを恐れたりする代わりに、自分からイニシアティブをとり、恐れの感情と向き合い、最初の行動を起こすことです。

(8)選択股を持つ

人生においては、自分がコントロールできないことはたくさんあります。しかし他の人とどう関わるかについては、実際には自分自身がさまざまな選択肢を持っているのです。いくつかの選択肢があることを認識することで自分自身をより自由にすることができ、こうでなければならないという固定観念から逃れることができます。自己選択、自己決定することによって、自分が本当にやらなければならないことが明確に見えてきます。

(9)準備しておく

何か問題が生じたときに、何らかの理由ですぐに対処せず、何も言わなかったがために状況がさらに悪化してしまうということはよくあることです。このような事態にうまく対処したいのであれば、事前に自分がどうしたいのかをよく考えておく必要があります。
「内側の力」を使うことを習慣づけられたら、どんな状況においてもすぐさま同じ基本原則を適用することができるようになります。
外側から与えられたどんな権威でも「内側のカ」でカバーすることができます。
いま現在、権威を何も持っていないとしても「内側の力」はつねに身近にあって利用できるものです。

(10)3つの質問で「内側の力」を利用する

ではどうやって「内側の力」を利用すればいいのでしょう?
それは、シンプルな3つの質問を、自分自身に問いかけることによって可能となります。3つの質問はテコのような役割を果たしてくれます。

  1. 何が起こっているのか?
  2. それについて自分はどう感じているのか?
  3. どのような具体的変化を望むのか?

まとめ

3つの能力①前に踏み出す力②考え抜く力③チームで働く力>を身につけるプロセスは、ストレスを受け入れ、克服するプロセスであって、ポジティブであることが能力に織り込み済みです。

コーピングを私たちは普段から無意識にしています。疲れたのでダラダラしたり,食べたり飲んだり、愚痴をこぼして発散したり,ゆっくりお風呂につかったり、これらもコーピングです。
しかし、大切なことはこれらをポジティブに自覚的・戦略的に行うことです。
疲れ果ててダラダラするのではなく,その前に適度な休息を自覚的に取るのです。それが戦略的という意味で、ヒュッゲやウェルビーイングをおすすめしています。
ストレス反応を軽減するコーピングには,呼吸法などのリラクゼーション法も効果的です。ゲンキポリタン大学では、身体全身の有効な<般若の呼吸>の講座も開催しています。究極のリラクゼーションは<自分忘れ>です。
自分忘れ>を一目で解るようにしたものが、<人生100年時代のマンダラ>です。是非、自分にあった方法を見つけましょう。

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