「十牛図」7枚目の絵は、「忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん)」です。
「忘牛存人」の問いは、
- 牛はどこ行ったのか?
- くつろぐ感謝する牧人の心中は?
あなたなら、どう答えますか?
- 他者にも自分にもイライラすることが多い
- 毎日を穏やかな気持ちで過ごしたい
- 人生を充実させたい
- つい批判的なものの見方をしてしまう
- マインドフルネスで効果を出したい
- 短めにマインドフルネスを行いたい
- 温かい気持ちにつつまれたい
十牛図「忘牛存人」
「十牛図」7枚目の絵は、「忘牛存人」です。
とうとう牧人は自分の庵に帰ってきて、牛を牛小屋に入れてほっとした牧人は、庵の前でのんびりとうたた寝をしています。
静寂の中、安猪の気持ちにひたりながら、休息しています。
牧人は「生死解決」をほとんど成し遂げたのです。
「十牛図」7枚目の「忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん)」の特徴は、牛が描かれていないことです。
牛を牛小屋に入れたので、いないのは当然です。
見逃しがちですが、牛小屋が描かれていてもいいはずなのに、「牛はない」という点です。
牧人しかいないのは、真の自己と、追い求める自己がひとつになったからです。
本当の自分
真の自己とは何でしょう。
- 私らしく生きたいのです。
- 本当の自分でいたいです。
という、人たちは、「私らしく」「本当の自分」はになり得るのでしょうか?
「自分独自の生き方」に執着するほど、「真の自己になりきった自分」から遠のくのでは、ないでしょうか。
- 偽りの自分
- 意識できる本当の自分
- 真の自己になりきった自分
二分法思考に馴染んだままの「分別智」の状態では、他者も存在しているので、他者にも三通りあります。
- 偽りの自分(他者)
- 意識できる本当の自分(他者)
- 真の自己になりきった自分(他者)
3種類の自分に対応する3種類の他者がいます。
つまり自分が変われば相手も変わるのではないでしょうか。
自分が変われば相手も変わる
上の写真は、神無月(出雲地方では神在月)に出雲大社に行く神様が上陸する稲佐の浜で夕日を撮ったものです。
稲佐の浜では、晴れていれば毎日の光景です。
しかし、私には特別な風景です。
出雲駅から自転車を借りて撮りに行った写真だからです。
なぜなら翌朝、日の出を撮影するには、自転車を使うかタクシーを予約しておく必要があったので、どの位の時間が必要か、知っておく必要があったからです。
何時間も身体と心を使い危険も感じながら撮ってきた写真には、特別な思い入れがあります。私はこの光景になりきったと言えます。
「自分が変われば相手も変わる」の一例ではないかと思います。
「自分が変われば相手も変わる」しかない
人には4つの人間関係の仕方があります。
- 自己肯定・他者肯定
- 自己肯定・他者否定
- 自己否定・他者肯定
- 自己否定・他者否定
見せかけは4通りですが、実際には、自己肯定できている人が他者否定することはないので、次の3通りになります。
- 自己肯定・他者肯定
- 自己否定・他者肯定
- 自己否定・他者否定
「自己肯定・他者肯定」とは、自他の分け隔てのない状態です。
自分も大事、相手も大事。
対立するのではなく、ひとつになるには、まず自分を知ることです。
相手を変えようと熱心ですが、「自分が変われば相手も変わる」しかないだから、自分を変えることに熱心になった方が得策のようです。
自分になりきるために自分を知る
自分を知るには、自分になりきることです。
偽りの自分を知って、他者を知ることはできません。
知る方法が、瞑想です。
瞑想とは呼吸するだけではありません。
念力を起こし、なりきるまで、念じて(心で想い続けて)なりきることで変化を実感できるようになります。
実感は螺旋状の力になって天に向かって昇っていきます。
マインドフルネスで自分を高める
「念じる」きっかけの瞑想トレーニングが、坐禅、レーズン禅、お米禅、歩行禅です。
対象になりきると言えば難しく聞こえると思いますが、お米ならお米マイスターのように、一粒のお米を味わい尽くすことです。
あまり予備知識を持たず言葉を介さずに慣れる、実践的に慣れるようにしていくようにします。最初は頭を使いがちですが、決して難しいことではありません。
自分は、ノルディックウォーキング禅をしていますが、ノルディックウォーキングは全身を使うので、歩いていると考えることもなくなります。
ジャストライクミー
マインドフルネスに「ジャストライクミー(私と同じ)」という手法がありますが、これは人間関係の仕方でいう「自己肯定・他者肯定」、唯識の「無分別智」の心境と同じです。
「ジャストライクミー(私と同じ)」を知るには、まず自分を知ることが始まりです。
「自分を知る」から始める
自分を知るために、たとえば、次のような設問をして自分に気づきます。
- 自分のどんな気持ちを持ったのか知る
- 自分の何にどのような感情を持ったのかを知る
- 自分の悲しみを知る
- 自分が何に、どのように、傷ついたのかを知る
- 自分が何に、どのように、失望したかを知る
- 自分が何に、どのような、怒りを感じたのか知る
- 自分が何に、どのように、うろたえか知る
- 自分が何に、どのように、痛みを感じたのか知る
- 自分が何に、どのように、苦しみを感じたのか知る
- 自分が何に、「し合わせ」を感じるのかを知る
こうして書き出すことで、自分を知ることを深めていきます。
人は自分を知っているようで、自分に執着し、自尊感情を貪ることに忙しくて知る機会を逸して、逆に「自己肯定(自己否定)・他者否定」「分別智」動いてしまいます。
マインドフルネスのワークで、日常の癖にストップをかけて、自分への注意を一粒のお米を味わうように知り尽くします。
自分を整理できると、自分を整頓に進んで、他者との共感づくりに、整理された自分を引き出し「ジャストライクミー(私と同じ)」のワークに進みます。
「真の自分、真の「し合わせ」」へのおもてなし
庵の前で、のんびりとうたた寝する牧人の心中とは、どんなものでしょう。「寂静」という言葉があります。
二分法思考の世界に生きて選択を迫られる日々は、風に吹かれて荒れる海の水面に似ています。
「寂静」は、風に吹かれて荒れる海の水面が鎮まり、波ひとつない水面のように、心が落ち着くのに似ています。
「真の自己になりきった自分」・・・これが「寂静」ではないでしょうか。
念ずることは、「寂静」へ自分をおもてなしすることではないでしょうか。
まとめ
私たちはみんな一人一宇宙です。自分の宇宙から出ることはできず、他者も入れません。
縁起(因果関係)によって繋がっています。それを全宇宙といいます。
互いの一宇宙を超えることもなく、私はあなた、あなたは私。
- 他者にも自分にもイライラすることが多い
- 毎日を穏やかな気持ちで過ごしたい
- 人生を充実させたい
- つい批判的なものの見方をしてしまう
- マインドフルネスで効果を出したい
- 短めにマインドフルネスを行いたい
- 温かい気持ちにつつまれたい
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