無形資産の教科書|十牛図「得牛」

「十牛図」得牛(とくぎゅう) 十牛図
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禅の教科書「十牛図」四番目の絵は「得牛(とくぎゅう)」です。
ついに持っていた綱を使って牛(自分)を捕まえた牧人(自分)
再び暴れて逃げようとする牛、渾身の力で自分に引き寄せる牧人。
本当の自分である牛と、本当の自分を探す自分の間で懸命の格闘が続きます。
得牛の方法は、200年時代を生きる若者に鉄板の成功法則です。

得牛の問いは牛を捕らえる綱とはなにかです。
では、一緒に設問に答えましょう。

十牛図「得牛」の意味

十牛図

十牛図 4番目の絵「得牛」は、長い修行が報われて、牛(自分)を完全に見抜いた状態です。

しかし、まだ捕まえてはいません。現在、格闘中です。
では「得牛」の場面にワープしてみます!

牛を捕まえる綱とは何かというのが、十牛図 4番目の絵「得牛」の問いです。
この問いに答えるために、5つの言葉を使います、

「止、観」と「念、定、慧」です。

牛を捕まえる綱が「止、観」の2文字です。
牛を捕まえるプロセスが「念、定、慧」の3段階です。

止と観

止観

「止、観」を「ヨーガの心」と言います。
ヨーガには、「二つを結びつける」意味があり、分離した心と身体を結びつけることが該当します。インドでは精神性より、身体を使って修行することが多いので、日本の坐禅のような形態は取りません。
そこで古代から発達してきたのがヨーガです。

  • 「止」は静的な動きです。・・・心が心になりきる。
  • 「観」が動的な動きです。・・・心が対象になりきる。

対照的ですね。

「止、観」をつなぎ合わせると「止観(しかん)」と呼びます。

「止観」は仏教の瞑想法の一つ。
止は心を乱さず特定の対象に注ぐこと,観は止によって正しい知恵を起こし,一切の対象を明らかに観察すること。この両者を互いに成立させて仏道を完成する実践法とするとされています。

呼吸瞑想を例にとると、呼吸を一つずつ「入る」「出る」と気づいていく実践をし、心がどこかに飛んでいってしまった場合には、その事実に一旦「考えている」と気づいてから、またもとの呼吸の「入る」「出る」に戻る。この一連の動作を繰り返していくと、日常的な心の働きがほとんど静まってきます。

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「牛を捕まえる綱」とは集中になりきること

ヨガ

ヨーガでは、まず心と身体をひとつにします。
そのはじまりが、呼吸です。

集中するために、自分が呼吸になりきります。
息が自分か、自分が息かと言うほどの状態に持っていきます。
日本の禅が呼吸に集中するのも同じですね。

この状態になりきることが、牛を捕まえる綱になるということです。

牛は捕まらないように抵抗します。
抵抗されると、こちらは必死になっていきます、
お互いに必死になると、強靭な牛の力に圧倒されて、いよいよ困難になります。
これは執着の状態に似ています。

執着から離れると、綱とプロセスの重要さに気がつき、綱になりきり、プロセスになりきるのです。

牛を捕まえるプロセス

憶念

今度は捕らえるプロセスです。
牛を捕まえるには、自分が綱になりきり、全身全霊を働かせます。
相手を観ながら捕まえるという波動を自分と牛に送ります。

自分と牛を一体化して、「念、定、慧」の3段階のプロセスで進めます。

  1. 念は想いが集中した状態
  2. 定は静まった心
  3. 智慧は真理を映し出す心

    の意味があります。

  • 集中して、想いが呼吸になりきるようにします。「念」によって集中します。
  • 集中できたら、落ち着きが出てきます。これが安定の「」の状態です。
  • 結合の準備をして、ヨーガでは、さらに結合を進めて「真理」、「究極的な真理」を求めます。これが智慧の「」の状態です。

私たちに問われているのは、自分が自分と一体になるには、綱である「止、観」と綱を使って行動するプロセス「念、定、慧」を実践なさいということだと解釈したのです。

考えるな、感じろ

牧人はこうして「得牛」した

「十牛図」得牛(とくぎゅう)

 

では具体的にどのようにして「得牛」したか、説明します。

4番目の絵「得牛」は、逃げ出した牛(分離してざわついている波)をヨーガの心を使って捕まえました。

私たちは目標が大きいと比例して力が入って執着してしまいます。
牧人も同じでしたが、念じて、自分と対象(牛)そして綱と捕獲のプロセスになりきりました。

このことを、注意深く考えて、行動できるようにしたいと思います。

ここに幸あり

ここに幸あり

牧人が牛を見つけるまで時間がかかりました。
でも本当は近くいたのではないかと思います。ただ気づかなかっただけです。

なぜでしょう。

牧人は、自分と対象(牛)になりきることを忘れていたのです。
あるいは、その重要を知らなかったのです。

そのまま牛と対峙したら、おそらく捕まえることはできなかったと思います。
なにより見つけることすらできなかったでしょう。
元々、牛になりきっていなかったので、逃げられたのです。

だから気がついた段階で、牛の側にいたのです。
対象が欲しいと思えば思うほど、持っていないことを思い知らされ、執着が強くなるほど、どんどん離れていきます。でも、持っていると思うと、対象との差が縮まります。

月になりきる月見酒

月見酒

盃に注いだ酒が静まって、満月を映し込んでいる。
それを一気に飲み干す。

月になりきる

・・・・なんともお洒落な楽しみ方ですね。

  • 妻の私になりきる。
  • 子どもの私になりきる。
  • あなたの私になりきる。
  • 生徒の先生になりきる。

なりきって、なりきって、なりきって、生きる・・・大人なら、お洒落にまとめる力を持ちたいですね。

 

画像2

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まとめ

暴れている牛、牛と自分をつなぐ緊張した綱、渾身の力のぶつかり合い。
「得牛」には緊張感がみなぎっています。そこに精進の二文字が念によって浮かんできます。
なりきることは緊張によって生み出されます。すべての行為に「なりきる」ことが智慧として働く余裕が誕生した時、真の自分を発見できるようになります。

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