無形資産の教科書|十牛図「見跡(けんせき)」

十牛図
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禅の教科書「十牛図」は、ライフシフトする人生200年時代の無形資産の教科書です。
「十牛図」2枚目の絵は、「見跡(けんせき)」です。
牧人が探し回り、牛の足跡を発見しました。
ようやく手がかりつかんだ状態が描かれています。

「見跡(けんせき)」の問いは、牛の足跡とはなにか?です。
早速、「見跡」について一緒に学びましょう。

「十牛図」二番目の絵「見跡」

人生200年時代の「十牛図」見跡(けんせき)に、けものみち発見の旅を続けます。

牛(=自分)を探そうとしているのは自分です。
なぜ、自分で自分を探すのでしょう、ヘンな話のようですが、自分探しはエクスプローラ期には大切なことです。ここにいるはずの自分に気づかないのは、まだ自分を知らないからです。
年老いて鬼籍に入ろうとしているのに、まだ自分を知らずに、自慢話ししかしない人もたくさんいることを思うと不思議ではありません。

人生200年時代の「十牛図」と無形資産

人生200年時代の4つのライフステージ

  • エクスプローラー・・・・探求者。つまり自分が何者か、何をしたいのか、を知る人のこと。
  • インディペンデント・プロデューサー・・・・フリーランサー、個人事業主、自営業
  • ポートフォリオ・ワーカー・・・・副業を持っている、複業を実践している
  • 起業・複業・ボランティア・・・・リタイア後の人生をアクティブに生きる

人生200年時代は長生きするので、お金がかかります。そこで金融資産が重要になりますが、その前に稼ぐ力が大切です。稼ぐ力と相互依存の関係にあるのが無形資産です。

  • 生産性資産・・・稼ぐ力
  • 活力資産・・・病気しない力
  • 変身資産・・・ワークシフト(ライフシフト)できる力
  • パートナー資産・・・パートナーを支援できる力
無形資産の教科書|十牛図「尋牛」
人生100年時代はお金がかかります。金融資産は豊かな無形資産があって成長します。ここを間違うと真の豊かさを得ることは困難にします。十牛図にはその答えがあります。十牛図の答えを引き出すにはあなたが十牛図の問いに答える必要があります。『無形資産の教科書|「十牛図」』では十枚の絵にヒントを用意しました。

意欲的になるほど、叶わなくなる

人は強すぎる欲望によって、
自分(=やりたいこと)を見失います。

欲望がないとやりたいことは、分からなくなるし、できないと思います。
そこで欲望を高める努力をします。
しかし、そうすればするほど、自分(欲望)を見失います。
手にしていない自分に気づき、手にできなのではないかと念仏のようにマインドトーク(雑念)を繰り返すからです。

強すぎる欲望をもったからといって叶うわけではありません。
言葉だけなので不安になり、先の不安に押し潰されます。

言葉だけが暴走したら、逆の結果になる仕組みは理解していただけると思います。
不安になった状態を見て「心ここにあらず」という表現をしますよね。

牛は逃げてしまった状態です。後に残ったのは「抜け殻」つまり足跡です。

「見跡(けんせき)」の問いである牛の足跡とはなにか?に対する答えです。

「叶わない抜け殻(自己否定感)」は怒りになり、ゴミを撒き散らし、自分を痛め、周囲の人を痛めます。

そして二番目の絵、「見跡(けんせき)」

「見跡(けんせき)」を、十牛図最初の絵「尋牛」・・・牛(自分)がいなくなった状態と繋いで考えてみてください。
そして牛(自分)が、いなくなったことに気づきます。
気づかないまま人生を終える人もたくさんいることを思えばラッキーです。
気づくことは悟りのはじまりなので、とっても大事です。

十牛図「見跡」では、探し回った末に、ようやく牛の足跡を見つけます。

どのようにしてみつけたのでしょう?
先人、書物が導いてくれていることを知ったからです。
しかし、まだ理解したわけではありません。

牛の足跡とは、追いかける手がかりです。
本当の自分に出会うにはどうしたらいいのでしょう。

本来、人には仏心が備わっています。
しかし育て方の間違いや育った環境の影響で、歪んだ認知、歪んだ価値観を身にまとってしまいます。

これを本当の自分に戻す作業が仏道を歩むことです。
禅は仏道を学ぶためのものであり、生きる悩みや苦しみから解放するものです。

牛の足跡とは、ブッダの教えです。
ブッダの教えを法にして、自分の中にある良い資質の手ががり見つけることに他なりません。

「自灯明・法灯明」

つまり「見跡」を発見するのは道の上です。
道とは、すでにあるものではなく、万物の礎です。
主体的な最初の道とは、自分だけの道です。
もしこの道を行かないのであれば、自分の一生を楽しむことができず、他者の楽しみになってしまうという意味が込められてます。

自灯明・法灯明」のことです。

ブッダの遺言・・・自灯明・法灯明

ブッダの教え「自灯明・法灯明」は、ブッダの遺言のようなものです。

「自灯明・法灯明」は、ブッダが入滅された後、どうしたらいいのかと尋ねた弟子に説かれたこと。

「自灯明・法灯明」の意味は、次のような内容です。

ただ誰かから聞いたからといって、それを信じるな。
何代も受け継がれたからといって、その伝統を信じるな。
たくさんの人の間で語られ、噂になったからといって、それを信じるな。
あなたが所属する宗教の聖典に書かれているからといって、それを信じるな。ただ貴方の先生や先輩の権威だからといって、それを信じるな。
しかし、観察と分析を行なった上で道理に合っていて、すべての者の利益になると貴方がわかったならば、それを信じなさい。

「他者に頼らず、自己を拠りどころとし、法を拠りどころとして生きなさい」ということで、法を信じ、自分を信じることは、人生の楽しみであると説かれています。

仏教の本質が哲学であることが理解できる教えです。

自分の内側にある資産、社会の原理原則に目をむけて生きなさい。ということです。
「自灯明・法灯明」という言葉の重さは「自灯明」が先にあることです。
まず「自己を拠りどころ」にしなさいという点です。
いたずらに法に従属しないように注意喚起しているのです。

すべては縁起

因果関係をあらゆる角度から観察・分析することで真理(=法)が自分の内に育ってきます。
真理が自分に宿ったとき、はじめて主体的な自分に出会えます。

逃げた牛(私)とは、自灯明・法灯明で生きていない自分(私)です。
牛(私)を探している自分(私)とは、「自灯明・法灯明」の大切さに気づいた自分(私)です。

正しい教えを正しく聴き、正しく行うことで、逃げた牛(私)の足跡を追うことができるのです。

ようやく「牛の足跡」を見つけました。
さて、仏法を知り、先人の言葉を聞いて、知識として頭に入っても、自分ではありません。

はじめて出会う自分とは本当の自分、新しい自分です。愉しむべき自分です。

牛探しの旅は、真実を求める旅で、いまでいう宇宙の旅のようにエキサイトなものです。

言葉が気づきを邪魔している

 

逃げた牛(自分)の足跡とはなんでしょう。

言葉で知った自分です。

言葉で知った自分なので、そこに自分がいるわけではありません。
足跡はイメージでしかありません。
言葉もイメージでしかありません。
イメージだから、人によって違います。

ある人が思い浮かべる青と、あなたが想う青は違います。

言葉によって与えられたものは、心そのものではありません。

私たちは言葉で知ったつもり、解ったつもりになっていないでしょうか?

火と言ったら
唇が燃えるわけでもなし、

愛しているといったところで、
私のあなたが、あなたの私になるわけでもありません。

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まとめ

「十牛図」2枚目の絵では、「見跡(けんせき)」・・・逃げた牛(自分)の足跡を見つけました。

逃げた牛(自分)とはなんでしょう。
言葉で知った自分です。言葉で知った自分なので、自分がいるわけではありません。

逃げた牛の足跡(自分)とはなんでしょう。
足跡はイメージでしかありません。言葉もイメージでしかありません。

イメージだから、人によって違います。
ある人が思い浮かべる青と、あなたが想う青は違います。

イメージではなく実践で自分を知ります。

今こここの瞬間に打ち込むことで、両極端(執着)から離れ、生の世界を力強く柔軟に「なりきって生きる」ことができます。

 

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