前回「得牛」で牛が全力で戦ったのは偽のマスターから身を守るためでした。近づいてくる牧人は、本当に信頼だできたのだったのでしょうか?牧牛は真の自己の守るために前回、抵抗しました、偽マスターの場合もあるからです。マスターとは支配する人、あるいはモノです。支配されている人はマスターの前に行くと畏れや崇拝の念から首を垂れていまいます。畏れや崇拝の念は愛の規範に守られたモノでなければなりませんが、近頃は度外視されいる傾向が強いので、自ら気をつけなければなりません。
「十牛図」5枚目の絵「牧牛(ぼくぎゅう)」では、牧人は暴れる牛を手なずけながら帰途につきます。牧牛とは、牛を放し飼いにすること。また、その牛そのものを言います。ここでいう手なずけるとは、牧人・牧牛の煩悩を無分別智の炎で焼き尽くすことを指しているようです。愛の規範に裏付けされていることが重要です。それは7回目の絵「騎牛帰家 (きぎゅうきか) 」で明らかになります。
十牛図(じゅうぎゅうず)は,十牛禅図(じゅうぎゅうぜんず)や牧牛図ともいい、10枚の図と詩で表したもの約900年前,中国北宋時代の臨済宗楊岐派の禅僧・廓庵(かくあん)和尚によって書かれた「悟り」に至る禅の入門書として使用されています。
十牛図では、真の自己を尋ねる旅を、牛を探してゆく道として表しています。
2.見跡 (けんせき) ・・・・・・・・・・・牛の足跡を見つける
3.見牛 (けんぎゅう) ・・・・・・・・・・ようやく牛を見つける
4.得牛 (とくぎゅう) ・・・・・・・・・・野生の牛はすぐに暴れ出す
5.牧牛 (ぼくぎゅう) ・・・・・・・・・・暴れる牛をいかに飼い馴らすか
6.騎牛帰家 (きぎゅうきか) ・・・・・・・牛に乗って故郷に帰る
7.忘牛存人 (ぼうぎゅうそんにん) ・・・・ 飼い馴らした牛は忘れてしまっていい
8.人牛倶忘 (じんぎゅうぐぼう) ・・・・・人も牛もいないゼロの世界
9.返本還源 (へんぽんげんげん) ・・・・・無の世界から有の世界へ還る
10.入鄽垂手 (にってんすいしゅ) ・・・・・町に出て人々のために働く
10枚の絵とそれぞれ漢文の「序(じょ)」と、漢詩の「頌(じゅ)」があります。
漢詩の「頌(じゅ)」は、廓庵師遠(かくあんしおん)禅師が作り、漢文の「序(じょ)」は、慈遠(じおん)禅師がのちに付けました。
5枚目の牧牛には次のような詞が付いています。
前思わずかに起これば、後念相随う。
覚に由るが故に以って真となり、迷に在るが故に志か(而)も妄となる。
境に由(よ)って有なるにあらず、唯(ただ)自心より生ず。
鼻索(びさく)牢(つよ)く牽(ひ)いて 擬議(ぎぎ)を容(い)れざれ。
十牛訓の序。 第五図 牧牛
ある思いが起こると、その後から別の思い続いて起こる。
本心にめざめること(覚)で、真に悟るのである。
本心を見失っているから、迷うのだ。
それは外界(境)のせいではなく、すべて自分の心から生まれるのだ。
迷いが生じた時には、すぐ牛の鼻につないだ手綱を強く引いて訓練しなければならない。
暴れていた牛もようやく牧人になつき、一緒に歩いてくれるようになりました。
手綱もゆるんでいますが、まだ手放せる段階にはなっていません。
ここでは姿だけが見えていた本来の自己をつかまえたようにも見えます。
それでも、まだ手綱、つまり緊張感が必要なのはなぜでしょうか。
厳しい修行を積んで、本来の自己を取り戻したつもりでも、煩悩はおりにふれて頭をもたげます。
ですから、禅では悟りを開いた後の修行を重んじ、これを「悟後(ごご)の修行」といいます。
修行の気持ちの発端はよく四誓願(四弘誓願)という言葉に表わされています。もとは菩薩が立てた四つの誓いで、これが成就しなければ、菩薩は自分も悟りの世界にいかないと誓ったのです。最初に願いを立て、これに向かって努力をすることが、忘れられていますが、努力をしないことは「人よりも楽に」生きたいという煩悩の始まりなのです。愛した人を守るために本心に光をあてて真剣勝負に身を投じるのです。
愛する人を応援するために生きて、生きて、生き抜いて、働き、愛することをやり遂げて、ゲンキポリタンの三宝院沙門のZEN入門。200年婚を突き抜ける3倍とんがる!モチベーションで歩き遍路とライフシフトで「十牛図」を解説します。
人生脚本に染み込んだ煩悩
全ての物事は原因があって結果があります。因果の法則によって成り立っています。手なずけるには原因を知って、本心を見失わず、不安を取り除くのが鉄則です。
マスターとは人生を支配している人です。自分の人生を率直に支配する人です。自分の人生は自分で選ぶのが鉄則です。人を愛することは愛の規範を実現して愛する牛に偽のマスターを近づけないようにすることであり、世の中にあふれている偽のマスターを近づけないことです。愛することで本物のマスターは地上にひとりしかいないことを実証して偽物を近づけないことです。偽物のマスターは配偶者、子ども、親、祖父母、上司、医師、教師、権威者、名誉、権力、お金、財産、執着かもしれないのです。つまり、女性を守ろうとするあなたは巷に溢れる偽マスターから愛する人の神になるのです。
顕在意識、潜在意識に蓄積された煩悩にも原因があります。
いっぱい原因があるので、何から手をつけていいのか解らなくなります。
牛(=本当の自分)が落ち着いたなら、手なずける必要はありません。
手懐けなければならないとは、自分を捉えたけど、まだまだ落ち着いていない、手綱を緩めたら、どこに行ってしまうかわからない状態です。
さあ、どうするか?
煩悩を「放下著」で手放す腕の見せ所です。
気づきが深まれば行動になる
煩悩の原因はひとことで言えば「生への不安」
親の保護が必要な一人で生きていけない子どもにとって、愛されることは生の保証みたいなものです。
不安は偽マスターになります。
ラケットは愛されているかを確認するもの、自分がつらい状況にあると見せつけて、どうしてくれるか確認するのがラケットの狙い。愛されている(=保護してくれる)を確信することで安心できます。
不満があって愛情をたっぷり注いでもらっていないと感じている幼児は、ラケットの手法を、そのまま人生脚本に持ち込んでしまいます。習慣化してしまいがちで、基本姿勢になります。これが認知の歪みになります。認知の歪みの背景には「愛されたい希求があります。とっても複雑な脚本になるだけでなく、現実的な対応が希薄になります。消費社会はそこを突いてきます。
しかも脚本の結末は否定的なモノになります。
たとえば「嫌われる」「見捨てられる」そうすると100年生きて、最後に「見捨てられる」・・・・こんな恐ろしくて寂しい脚本を書きます。
人生脚本の目的(ゴール)がそうなれば、ゴールを実現するように暮らします。
たとえば「誰にも看取られずに孤独のうちに死んでいく」とか。
これを実際にやり遂げます!私たちは議員になった人が晩年悪事がバレて地位を失い退場していく姿をニュースで見かけます。
そのために無意識に人生脚本を書き上げたので可能にしているのです。
まず「嫌われる」「見捨てられる」ように、認知を適応させます。
すると、引っ張られた男子は「なんで先に歩いているのに譲らないといけないんだ」とつぶやきました。他の二人は「当然やろう」と状況判断をすることを説いていたように思います。
この関係がその後も続くようなら、価値観の違い(認知の違い)から、やがて友人関係は壊れると思います。
人に共感されない認知をずっと続けていると、「嫌われる」「見捨てられる」は簡単にできてしまいます。
生きる喜びを分かち合うにはありにままを取り戻し、深刻にならず素直になり、積極的に交歓することです。恐れを捨て信頼して執着を手放すメッセージです。
なぜ不幸になりたがるのか
自分のマスターは自分だけです。
思い通りにならない、思い通りにしたい
思い通りにしたい、思い通りに行くと考えているから、そうならなかった時に苦しみを感じます。
思い通りにならない苦しみが煩悩になります。
思い通りにならない煩悩は「執着」になり、ますます強くなってしまいます。
家が遠いか近いか・・・・
もうすでに気づいたから牛は逃げ出しました。
気づきを深めると牛は行動を変える時を迎えます。
牧人にとっては、牛の気づきが深まり行動に変わることを唯一の楽しみに歩いていきます。
煩悩を無分別智の炎で焼き尽くすときは迫ってきています。
幼児の万能感が錯覚の原因
幼児はひとりで生きていけないので、欲求を泣いたり、ラケットを使うことで、表現して大人を支配します。
そこで自分には万能の力があると錯覚します。
その万能感は期間限定で、幼児期だけに許された特権的で、いつまでも通用しません。
- 幼児期に受け入れてもらえるとストロークをもらうので安心します。
- 安心できないと、何度も、(いのちの危険を感じて)、執拗に確かめます。
幼児期にはそれが解りませんが、解らないのに、人間関係の仕方で人生脚本を書いてしまいます。
子どもにとって人間関係は生命線です。人間関係の仕方はいちばん関心の高いことです。
人間関係に不安があると、そのまま物事の事実の受け止め方、つまり認知の仕方にも影響します。
十二縁起、変えられない仕組み
成長期は、とても複雑な時期です。
成長期に不安があると人生脚本をネガティブにする原因になります。
しかし考えたことではなく、感覚でつかんだことなので、記憶にありません。
記憶にないけれど感覚と認知の歪みで記憶したことで、しかも繰り返し思い込んでいるので、どんどん強くなっています。
十二縁起
成長期はなぜ難しいのでしょう?
お釈迦様は全ての物事は原因があって結果があると説いています、
因果の法則は十二縁起にも明確に読み取れます。
- .『無明(むみょう)』
- 『行(ぎょう)=行為』
- 『識(しき)』
- 『名色(みょうしき)』
- 『六処(ろくしょ)』
- 『触(そく)
- 『受(じゅ)』
- 『愛(あい)』
- 『取(しゅ)』
- 『有(う)』
- 『生(しょう)』
- 『老死(ろうし)』
煩悩を作り出してしまう人間の仕組みである十二縁起を是正することは難しいことです。
この因縁を変えることが難しいので、4大真理(四法印)を受け入れて、だからどうすると考え、最適を行動する。最適とは執着しないことです。
4大真理(四法印)とは、以下の4つです。
諸行無常・・・・すべての存在が絶えず変化していることを表す教え
諸法無我・・・・あらゆる存在が自己独立的に存在するのではなく、諸法によって成り立っているという教え
涅槃寂静・・・・すべての存在が静かで穏やかな状態であることを表す教え
一切皆苦(一切行苦)・・人生には避けられない苦しみや不安を経験することを示す教え
以上の四つです。
執着の種になることをしない・・・そこで「無分別智」なのです。
牛は気づいたらから逃げ出したのです。すでに行動を起こした事実を受け入れて、牧人は手綱をゆるめずに信じてあげようとしています。
煩悩を焼き尽くす無分別智の炎
無分別智とは、私とあなた。施す人と受け取る人。というように分け隔てしないこと。
認知の歪みにある二分法的思考(dichotomous thinking)をしないことです。
「無分別の智慧」=「分け隔てしない智慧」と解釈できます。
思い通りにするためのラケットが通じなくて、思い通りにならないことへの執着が、人生脚本に反映されているのです。
煩悩とはこの執着です。自分が・・・自分が・・・認知の歪み(=二分法的思考)が苦しめます。
無分別智(=自分と他者という対立を捨てる)を可能にすると、慈愛(=共感)が生まれますが、自分への執着が対立する思考から自由にさせません。
牧人は、牛を叱るわけでも、服従させようともしていません。
愛の規律を尊び牛の傷ついた心への共感、牛のいのちの本性を労わる気持を持ちながら帰途を続けます。
私たちは全員が神の子です。神に近づくためにあらゆる困難を超える経験が必要なのです。それぞれがどのような困難を経験するのかも想像できません。愛の規律を楽しむだけです。
悟りの形さえ見えない私たちには速い世界のようにも思えますが、心が洗われる世界に歩みだすには、しっかりした決意が必要で、そのモットーが四誓願です。
①すべての衆生を救おう(度)
②すべての煩悩を断とう(断)
③すべての教えを学ぼう(知)
④この上ない悟りを得よう(証)
という四つの根本的な誓いです。
まとめ
十牛図、5枚目の牧牛(ぼくぎゅう)は、暴れる牛を手なづけながら家に帰る道中です。
暴れるには原因があります。
全ての物事は原因があって結果があります、因果の法則で成り立っています。ラケット、認知の歪み、人生脚本にも、十二縁起という原因があります。
十二縁起の仕組みで自己執着心が生まれてしまいます。
因果関係の連鎖に気をつけましょう。
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社会人基礎力|GTD⑤マンダラ思考で整理する
社会人基礎力|GTD⑥システムをマンダラ思考で見直す - 決定版「図解」十二縁起
コラム 自我と交流分析
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