相続は重要なことなので複雑。「遺留分」もそのひとつです。ここでは遺留分について学習しましょう。
遺留分ってなに?
遺言の内容にかかわらず、一定範囲の相続人(遺留分権利者)は、最低限の相続分を獲得できる制度として「遺留分」が定められています。
相続において法定相続人の順位と範囲が決められているのは、相続財産によって残された家族の生活保障をする趣旨もありますから、被相続人と一定の繋がりのあった人たちに関しては、遺留分として最低限の遺産を取得する権利があります。
遺留分権利者
遺留分権利者(いりゅうぶんけんりしゃ)とは、遺留分を請求し受け取ることのできる権利を持つ兄弟姉妹以外の相続人のことです。
妻と子が相続人のときは妻と子が、子がおらず、妻と父母が相続人の際は妻と父母が遺留分権利者となり遺留分が認められています。
映画俳優、高倉健さんは離婚した元夫人のチエミさんが先に亡くなっていて、子もなく、普通養子縁組した女性に遺産が相続されたと話題になりました。健さんのお姉さんは高齢ながら、まだご健在のようだったので、一部でゴシップ記事が流れましたが、遺留分の対象でもなく、法的になにも問題ありませんでした。
全体の遺留分の割合
各相続人の遺留分の割合は全体の遺留分は、各相続人の法定相続分を乗じた割合になります。
遺留分侵害額請求権
遺留分減殺請求額(いりゅうぶんげんさいせいきゅうがく)
遺留分侵害額請求権(=減殺請求額)とは、被相続人が特定の相続人等に遺産のほとんどを譲るといった内容の遺言を残していた場合など、特定の者にだけ有利な内容の遺産分配がなされた場合に、一定の範囲の法定相続人が自己の最低限の遺産の取り分を確保することのできる制度です。
相続のあったことを知ったときから、1年間行使しないとき、または相続開始から10年を経過したとき、時効から消滅します。
*2019年7月から、遺留分を侵害された価額を金銭でのみ請求できる「遺留分侵害額請求権」になりました。
遺留分の放棄
遺留分の放棄を行うケースとしては、例えば家業を継がせたい場合などにおいて、特定の相続人にすべての財産を相続させるという遺言を残す準備がされている場合などです。相続開始後にその遺言内容を円滑に執行するため、その他の相続人に、家庭裁判所の許可を得て、相続開始前に遺留分を放棄してもらうのです。
相続開始後に放棄する場合には、許可に必要はありません。
なお、遺留分を放棄しても、相続人になることはできます。
遺留分放棄をする場合の家庭裁判所の判断基準
遺留分放棄に関して家庭裁判所の判断基準として、3つの要件をすべて満たしている必要があります。
- 遺留分は相続人の権利です。
その権利を持っている人の合理的な意思により遺留分放棄を行うことが前提条件です。 - 合理的な理由とは、遺留分の主旨として、感情等によるものでは無いことが挙げられます。
- 例えば、長男より長女の方が可愛いから、長女に全部相続させたい、そのために長男に遺留分を放棄させたいというような理由は通用しません。
- 放棄する場合、同等の代償が用意されていることが必要になります。
まとめ
遺留分とはなにか?
遺留分権利者とは誰か?
全体に対する遺留分の割合、
遺留分減殺請求額、
遺留分の放棄など遺留分に関する決まりをまとめました。
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