200年ライフお金のゴエス|ROE (自己資本利益率)

ROE お金のゴエス
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こんにちは、人生100年時代のマインドフルネスなファイナンシャルプランナー、ルーティンワーカーなゲンキポリタンです。

PBR(株価純資産倍率)に関連して、ROEについて説明しておきます。

ROEとは自己資本利益率(自己資本利益率)のことです。

自己資本利益率=税引き後題純利益÷自己資本(純資産)

ROE
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)は、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。

企業の収益性判断の指標として、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)とともに、株式投資の指標として重要視されています。

ROEは、投資家から重要視される大事な財務指標であり、ROEが高いと株価も上がりやすいので、経営に大事な指標です。

ROEの役割

ここでは、ROEという数値が会社にとってどのような影響を与えるのかについて見ていきましょう。

株式投資に興味を持たれている方は、財務諸表やその分析指標の用語の多さに苦労されているのではないでしょうか。
その中でもROEは投資家にとって重要な指標のひとつであり、投資判断のためにぜひとも理解しておきたい指標です。

投資家が期待するROEは8%以上とされていますが、東証一部上場企業のROEはそれを上回る10%前後となっています。

投資家は当然ROEが高い企業に投資したいと思いますから、企業の経営者もROEの向上を意識します。

2014年に新しく作られた株式指標のJPX日経400は、ROEが高い企業を集めたものであり、日本でもこれから益々ROEは重要視されます。

ROEで何が分かる?

ROE

ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。

株主の立場から見ると、ROE(自己資本利益率)が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
逆に、ROE(自己資本利益率)が低い会社は「経営効率の悪い会社」である判断され、投資家からのお金も集まりにくくなります。

ROEを改善するには?

ROE(自己資本利益率)を向上させるには、「売上高純利益率を上げる」「総資産回転率を上げる」「財務レバレッジを上げる」という3つの方法が考えられます。

なお、財務レバレッジの計算式は、自己資本比率の逆数です。つまり、借金をすればするほど財務レバレッジは大きくなり、結果として自己資本利益率が改善することになります。
なぜ、その3つの手段で自己資本利益率が向上するのかというと、前述のように計算式を分解できるからです。

ROEが上がる要因

まずはROEが上がる2つの要因について解説します。

当期純利益が増加すればROEは上がります。利益が増加する要因は2つあります。

1.事業の拡大による利益の増加

順調に事業を拡大し、当期純利益が増加している企業はROEが上がっていきます。
事業の拡大には、既存ビジネスの成長や新規事業への参入、企業買収(M&A)による事業規模の拡大といった要因があります。
事業そのものが好調であると、ROEは上がります。最も健全な状態だといえます。

2.コスト削減による利益の増加

コスト削減によって当期純利益が増加する企業もあります。
これもROEが上がる要因となります。しかしながら、コスト削減によって利益を継続して増加させるためには、毎年コストを削減し続けなければなりません。
この手法は何年も継続できるものではなく、効果に限界があります。

3.自己資本が減少している企業

自己資本が減少すればROEは上がります。自己資本が減少する要因は2つあります。

(1)配当を増やす

配当は自己資本の中から支払われますので、配当を増やせば自己資本は減少します。
配当が高い企業は株主への還元も大きく、ROEも上がりやすい企業ですので、投資家からは魅力的な企業と見られています。

(2)自社株を購入する

余剰資金を元手にして市場に出回っている自社の株式を購入する手法です。
自社株を購入することは、資金を株主に返還するという効果があり、自社株を購入した金額分の自己資本が減少します。資金の豊富な企業にとってはROEを上げる有効な手法です。

ROEが下がる要因

ROEが上がると、様々なプラスの要因が考えられます。
次に、ROEが下がる2つの要因について解説します。

1.当期純利益が減少している企業

業績が悪化し当期純利益が減少すればROEは下がります。利益が減少する要因は2つあります。

(1)事業不振による利益の減少

利益が減る要因の多くは売上が減ってコスト削減がそれに追い付かないことです。
これまで順調だった既存ビジネスが成熟期を過ぎたり、新規事業の参入が思惑通りにいかなかったり、M&A後に統合された企業間の人材育成がうまくいかなかったり、といった状況が考えられます。

(2)コスト増加による利益の減少

原材料の高騰や人手不足による賃金の上昇といったコストの増加によって利益が減少すると、ROEは下がります。

一方で、順調に業績が拡大している企業でも、

・先行投資で研究開発費を増やすとき
・採用人員を増やすとき

など、コストが一時的に増加した場合、売上に結び付くまでに時間がかかることがあります。

この場合、コスト増加が先行して利益は減少します。
しかし、事業の拡大に向けた布石としてのコスト増加は将来の利益につながると考えられますので、ROEが回復する可能性があります。

2.自己資本が増加している企業

自己資本が増加すればROEは下がります。自己資本が増加する要因は2つあります。

(1)過去の利益が内部留保として積み上がっている

毎年の利益は、配当として還元しなければ内部留保として積み上がっていきます。
これにより自己資本が増えていきますので、分母が増えてROEは下がります。

(2)資金を調達するために増資をおこなう

資金調達のために増資をすると自己資本が増加し、ROEは下がります。
増資によって調達した資金の多くは事業の拡大のための設備投資や企業買収などに充てられます。ROEを回復させるためには、調達した資金を事業の拡大につなげて利益を増加させる必要があります。

高いROEを維持する企業こそ優良企業

一時的にROEを上げることと、高いROEを維持することは全く違います。
ROEを高く保つことの難しさを解説します。

利益を継続的に増やしていく必要がある

まず、分子である当期純利益が増えていかなければROEの継続的な向上は望めません。
利益を継続的に増やしている企業は、事業の拡大のための施策の立案力と実行力があり、外部環境の変化にも柔軟に対応できる、事業戦略が確かな企業であると判断できます。

自己資本の増加を抑制する必要がある

ROEは利益が増えれば増えるほど分母の自己資本が増加するため、数値を下げる要因になる、というジレンマを抱えています。
これを克服するためには、配当を増やすことで自己資本の増加を抑制する必要があります。

一方で、利益は将来の事業の拡大に向けた再投資の元手でもありますので、利益をどれだけ再投資に回し、どれだけを配当として株主に還元するかのバランスを決めるのは非常に難しい経営判断です。

このように、利益の還元と再投資のバランスをとりながら、自己資本の増加を抑えつつ事業の拡大を続けていくことは本当に難易度が高い課題です。
高いROEを維持している企業は、事業の拡大と自己資本の有効活用、株主への還元といったさまざまな経営課題を何年も継続的にクリアしてきた優良企業と判断できます。

ROEが高くても安全とは限らない

ROEは企業の安全性を示す指標ではないのので、ROEが高くても安全な企業とは限りません。

その一例として、業績とは無関係にROEを上げる不健全な方法があるので注意します。
その方法は「借入金で調達した資金で、自社株を購入する」という方法です。

自社株を購入すれば自己資本が減少しますので、ROEは上がります。
この方法は、銀行から借りたお金を株主に還元しただけなので、自社株の購入に充てた資金は利益を生み出しません。

借入金で調達した資金は期限が来たら返済しなければなりませんが、このような資金の使い方は返済資金の足しにならないので、将来的に経営を圧迫します。

こうしたケースを見抜くために併せて参考にする指標に、企業の安全性を示す「自己資本比率」という指標があります。総資産のうち何%を自己資本で調達しているかを表す指標です。
法人企業統計の集計では日本企業全体で41.7%(2017年度)となっています。

自己資本比率が40%を大幅に下回っているにもかかわらず、自社株の購入でROEが上がっている企業については、貸借対照表の推移から借入金が増加していないかどうかを確認する必要があります。
借入金が増加傾向にある場合は、不健全な方法でROEを上げた企業と考えられるため、このような経営判断をする企業への投資は控えた方が良いとされています。

計算してみよう

計算してみよう

  • 株価 500円
  • 自己資本(純資産)400億円
  • 当期純利益 50億円
  • 年間配当金 20億円
  • 発行済株式数 2億株

問題:当該会社の次の数値は?

  1. PBRは?
  2. PERは?
  3. ROEは?
  4. 配当性向は?
  5. 配当利回りは?

ROE(自己資本利益率)の計算

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

ROEの計算式は分解できる

ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

※売上高純利益率=当期純利益÷売上高

※総資産回転率=売上高÷総資産

※財務レバレッジ=総資産÷自己資本

ROE(自己資本利益率)の目安

一般的には、自己資本利益率が10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。

ROEとROA(総資産利益率)の違い

すべての資産は、他人から借りた資本(負債)と自分の資本(純資産、自己資本)に分けられます。総資産利益率(ROA)が総資産(負債+純資産)に対する利益の割合であるのに対し、ROEは、純資産に対する利益の割合です。
つまり、ROEは自己資本を使ってどれだけ利益を生み出したかを表す指標であるのに対し、ROAが総資産を使ってどれだけ利益を生み出したかを表す指標となっています。

ROE(自己資本利益率)のまとめ

  • ROE(自己資本利益率)とは、自己資本に対してどれだけの利益が生み出されているかを示す財務指標です。
  • ROE(自己資本利益率)は以下の算式によって求められます。

    ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

  • ROE(自己資本利益率)が高いほど、自己資本をより効率的に運用できているということになります。一般的には、ROEが10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。

PER         株価➗1株あたり純利益

PBR         株価➗1株あたり純資産

ROE(自己資本利益率)当期純利益➗自己資本

配当利回り      1株あたり年間配当金➗株価

配当性向       配当金総額➗当期純利益

 

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