- 迷故三界域
- 悟故十万空
- 本来東西無
- 何処有南北
- 同行二人
-
「菅笠」に書かれいる「四句の悟り」
迷故三界域、悟故十万空、本来東西無、何処有南北・・・「四句の悟り」の始まりは、古く、もともとは、死者を入れる棺桶に書かれていた文字でしたが、巡礼の菅笠に書かれるようになったのは、白衣と同様、死に装束としての意味あいが強かったからといわれています。
「四句の悟り」・・・それぞれの意味を探り、何をどうしたいのか、考えましょう。さて、第三十一番札所「竹林寺(ちくりんじ)」の僧が、かんざしを買った高知県から歩き遍路を始めるコースは、6つのコースがあり、どれも魅力満点です。
四句の悟り
迷故三界域、悟故十万空、本来東西無、何処有南北・・・・これら四つの句には本質と真理が宿っています。そして締めくくるかのように「同行二人」が、まとめます。
迷故三界域
迷故三界城とは、「迷うがゆえに三界は城なり」
人間の悩みや苦しみは、煩悩や欲望、常識やこだわりに縛られて三界(欲界、色界、無色界)を脱することができないからである。
悟故十万空
本来東西無
そもそもこの世界にはあなた自身を縛るものや常識という概念はなく、太陽が東からのぼり、西に沈む。その東や西というのでさえ人間が言葉で決めたことであって、本来名前などない。
何処有南北
「空」(くう)とは,「西遊記」の三蔵法師がインドから持ち帰った経典を翻訳した般若心経にある「空」のことです。
すなわち,「かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心、ひろく ひろく もっとひろく これが般若心経 空の心なり」
同行二人(どうぎょうににん)
この同行二人という言葉は四国お遍路では持ち物にもよく見かけます。それほど馴染み深く、あなたにはお大師様がついているという意味で、昔から大事にしてきた精神です。
十善戒と三信条
十善戒
四国お遍路の道中、常に頭においておくべきなのが「十善戒(じゅうぜんかい)」です。「十善戒」は、諸戒の中でも基本となるお大師様のお言葉です。
- 不殺生(ふせっしょう)…生きている全ての命を大切にしむやみに生き物を傷つけない。
- 不偸盗(ふちゅうとう)…ものを決して盗まない。
- 不邪婬(ふじゃいん)…一人の相手を大切にして、不倫や浮気をしない。
- 不妄語(ふもうご)…人にうそをつかない。真実を話す。
- 不綺語(ふきご)…ものごとを大げさに話たり、余計なことを触れ回らない。
- 不悪口(ふあっく)…人の悪口をいわない、乱暴な言葉を使わない。
- 不両舌(ふりょうぜつ)…人を仲違いさせたり、陥れるようなことは言わない。
- 不慳貪(ふけんどん)…強欲にならず、感謝の気持ちをもつ
- 不瞋恚(ふしんに)…怒りを抑え、穏やかな気持ちで過ごす
- 不邪見(ふじゃけん)…人の道にはずれるような間違った考え方は捨てる
三信条
同行二人で、お遍路を最中に到達すべき心の状態を示すのが「三信条」です。
摂取不捨のご誓願を信じ、同行二人の信仰に励みましょう。
「悩めるもの、苦しむものが最後の一人になるまで救い尽くすであろう」という、お大師さんの言葉を信じ、道中は常に「お大師さん」と寝食を共にする思いでお参りしましょう。
何事も修行と心得、愚痴・妄言を慎みましょう。
お経にある「千年の功徳もわずかの怒りに消える」という教え。道中のアクシデントは、自らに与えられた試練・修行だと受け止め、心を安らかにし、愚痴や虚言を言わないよう努めましょう。
- 現世利益の霊験を信じ、八十八使の煩悩を消滅しましょう。
現世利益は、お金儲けや出世など世俗的な欲望を満たすことではなく、この世で受ける「仏の恵み」のこと。 仏の恵みを信じ、巡拝で88の煩悩を一つずつ消し去っていこうという意味です。
お接待
この関係が世界が求めている「ウェルビーイング」そのものであり、それに共感した外国人お遍路さんが急増しています。
しかも悟りは頭で理解するのではなく行動で理解するのが特長です。毎日決めたことを決めた通り(十善戒・三信条)に繰り返す日常生活で体得するのです。
修行の道場 高知県
徒歩だと名実ともに「修行の道場」となる長い行程が連続します。ポジティブに考えるとじっくり落ち着いて内省できるので、目的によっては高知県は、もっとも魅力のある「修行の道場」コースになります。
仏に逢うては仏を殺せ 父母に逢うては父母を殺せ
さらに「仏に逢うては仏を殺せ 父母に逢うては父母を殺せ」と来るから念が入ってます。「過去に学んできたこと、信じてきたことを、全て手離した一切の執着のない先にこそ、借り物でない本当の世界がある」まさに映画「マトリックス」が描いた世界です。
新興宗教がいかにトンチンカンな世界観を示しているか論破できるはずです。
遍路と不良とジャックナイフ
不良は心にジャックナイフを忍ばせているものです。
錆びているか、キラリと光っているかはそれぞれ違いがあるものですが、唯一無二でありたい象徴です。カウンターカルチャーの旗手として走り続けてた23歳だった裕次郎は砂山に埋まっていた「錆びたナイフ」に悲しみを見つけていました。
そもそも裕次郎がジャックナイフを見せた戦後の時代、戦時中に一部の人間の執着心に起因して占領されていた統帥権が、敗戦によって日本から占領軍に移ったことに国民の多くはうすうす希望と期待を感じていたのでしょう。戦争中には見かけなかったキャラクターである裕次郎はその象徴でした。錆びたナイフは埋めて良かったのです。
同じ23歳でも故郷高知の桂浜の思い浮かべながら、大江戸で剣を学んでいた坂本龍馬はどう考えても、稀代の不良で、ジャックナイフならぬ手裏剣はピカピカ光っていたと想像するしかないようです。
いつの時代にも、子どもと同じで、新しいものを生み出すには見えない敵に挑んでいく姿勢が必要で、それは好きなことで遊んでいる活力で育まれるものだと思います。
お遍路をするヒトの心には、年齢・国籍・性別を超えて、それぞれに”リスク”というジャックナイフがさんや袋に収まっているはずです。
八万四千と言われる煩悩に汚れた私たちのジャックナイフを洗うところが仏壇であり、お寺なのです。「神様助けてと」お願いするところではありません。
仏壇の前で合掌礼拝することによって、古来から続いてきたもともとのいのちと解けあうこと。それを朝夕、繰り返すことによって、知らず知らずのうちに日々の生活の中にもともとのいのちが染み込んでいき、全部がひとつにまとまっていくのです。
四万十川で洗い直す「もともとのいのち」
「日本を今一度せんたくいたし申候」とは、日本一の不良、坂本竜馬の手紙の中の言葉です。錆び付き身動き出来なくなってしまった日本を、もう一度洗濯してその錆を洗い流し、新しい近代国家として再建したい竜馬の熱い思いがこもった言葉です。
現代そのものであり「遍路」にも通じる言葉には、錆び付き身動き出来なくなってしまった自分を、もう一度洗濯して錆を洗い流し、古来から受け継いできた「もともとのいのち」を再建するエネルギーが満ちています。それが遍路のこころです。
最後の清流といわれる四万十川ほどジャックナイフごと自身を洗濯する最高の川はないのではないでしょうか。
比叡山千日回峰行
滋賀県と京都府にまたがる比叡山千日回峰行をする天台宗の僧侶は、悟りに近づくために蓮華の葉をかたどった笠をかぶり、白装束、草鞋履きで、260ヶ所を礼拝しながら、昼夜を問わず、ひたすら歩きます。
途中で行を続けられなくなったときは自害します。
そのための「死出紐」と、降魔の剣(短剣)を忍ばせて、三途の川の渡り賃である六文銭、埋葬料10万円を常時携行します。平安時代に始まった、この行を2回終えた者は3人、3回終えた者は1人、4回終えた者は居ないといいます。僧侶も心は立派な不良なのでしょうね。
3人のうちの一人が高倉健さんの心の師だったそうです。(「南極のペンギン)」
四国遍路も、すぐに埋葬できるように白装束で歩きますが、埋葬料を携行していると聞いたことはありませんが、みなさまの自由意思です。
行き倒れになったヒトは少なからずいたので、不良の心得として、連絡先と三途の川の渡り賃、埋葬料10万円はすぐに判るように携行した方が良さそうです。
修行の道場/おすすめ高知全6コース
-
-
- 第二十四番札所最御崎寺〜第二十六番札所金剛頂寺
- 第二十七番札所神峯寺〜第二十八番札所大日寺
- 第二十九番札所国分寺〜第三十二番札所禅師峰寺
- 第三十三番札所雪蹊寺〜第三十五番札所清瀧寺
- 第三十六番札所青龍寺〜第三十七番札所岩本寺
- 第三十八番札所金剛福寺〜第三十九番札所延光寺
-
No. | 山号 | 山号の読み | 院号 | 寺号 | 寺号の読み | 宗派 | 本尊 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
24 | 室戸山 | むろとざん | 明星院 | 最御崎寺 | ほつみさきじ | 真言宗豊山派 | 虚空蔵菩薩 | 室戸市 |
25 | 宝珠山 | ほうしゅざん | 真言院 | 津照寺 | しんしょうじ | 真言宗豊山派 | 延命地蔵菩薩 | 室戸市 |
26 | 龍頭山 | りゅうずざん | 光明院 | 金剛頂寺 | こんごうちょうじ | 真言宗豊山派 | 薬師如来 | 室戸市 |
27 | 竹林山 | ちくりんざん | 地蔵院 | 神峯寺 | こうのみねじ | 真言宗豊山派 | 十一面観音菩薩 | 安田町 |
28 | 法界山 | ほうかいさん | 高照院 | 大日寺 | だいにちじ | 真言宗智山派 | 大日如来 | 香南市 |
29 | 摩尼山 | まにざん | 宝蔵院 | 国分寺 | こくぶんじ | 真言宗智山派 | 千手観音菩薩 | 南国市 |
30 | 百々山 | どどさん | 東明院 | 善楽寺 | ぜんらくじ | 真言宗豊山派 | 阿弥陀如来 | 高知市 |
31 | 五台山 | ごだいさん | 金色院 | 竹林寺 | ちくりんじ | 真言宗智山派 | 文珠菩薩 | 高知市 |
32 | 八葉山 | はちようざん | 求聞持院 | 禅師峰寺 | ぜんじぶじ | 真言宗豊山派 | 十一面観音菩薩 | 南国市 |
33 | 高福山 | こうふくざん | 高福院 | 雪蹊寺 | せっけいじ | 臨済宗妙心寺派 | 薬師如来 | 高知市 |
34 | 本尾山 | もとおさん | 朱雀院 | 種間寺 | たねまじ | 真言宗豊山派 | 薬師如来 | 高知市 |
35 | 醫王山 | いおうざん | 鏡池院 | 清瀧寺 | きよたきじ | 真言宗豊山派 | 薬師如来 | 土佐市 |
36 | 独鈷山 | どっこざん | 伊舎那院 | 青龍寺 | しょうりゅうじ | 真言宗豊山派 | 波切不動明王 | 土佐市 |
37 | 藤井山 | ふじいざん | 五智院 | 岩本寺 | いわもとじ | 真言宗智山派 | 五仏[注釈 20] | 四万十町 |
38 | 蹉跎山 | さださん | 補陀洛院 | 金剛福寺 | こんごうふくじ | 真言宗豊山派 | 三面千手観音菩薩 | 土佐清水市 |
39 | 赤亀山 | しゃっきざん | 寺山院 | 延光寺 | えんこうじ | 真言宗智山派 | 薬師如来 | 宿毛市 |
ゲンキポリタン大学
「ゲンキポリタン大学」では、「社会人基礎力」をコアにライフシフトをバックアップするさまざまな講座を、さまざまな方を対象に、さまざまな形態で開催しています。ご都合に合わせた形態をお選びください。
「社会人基礎力」(全6回)
- 人生100年時代社会人基礎力3つの能力
- 社会人基礎力①|3つの能力と12の能力要素
- 社会人基礎力②|「前に踏み出す力」を育てる3つの能力要素
- 社会人基礎力③|「考え抜く力」を育てる3つの能力要素
- 社会人基礎力④|「チームで働く力」を育む6つの能力要素
- 社会人基礎力に追加された3つの視点
- 12の能力要素①社会人基礎力【主体性】の鍛え方
GTD®勉強会
コラム
-
- 自我と交流分析
- 自他肯定をライフスタイルにする『お粥さんプロジェクト』
- 人生の方程式から外れない<イマジン>3つの自我の使い方
- メンタルモデルを変える5つの心とエゴグラム
- 般若のゴエス|自分を忘れるアサーティブ・コミュニケーション
- 般若のゴエス|アサーション・コミュニケーション|率直について
- ロジカル・シンキング
- ラテラル・シンキング
- システム思考
- 無形資産
- 有形資産(金融資産)
- 自分忘れと自分探し
- ゲンキポリタン大学の無料講座/人生脚本の書き直し
- 社会人基礎力【主体性】の鍛え方:責任を引き受ける
- 社会人基礎力【主体性】の鍛え方:愛を駆け引きに使わない
- 社会人基礎力【主体性】の鍛え方:自分を愛せる、肯定できるヒト
- 社会人基礎力【主体性】道理・真理に通じていて、なるようになると達観できるヒト
- 社会人基礎力【主体性】過去の評価に左右されないヒト
- 社会人基礎力【主体性】広い視野から人生を見ることができる
関連サイト
ゲンキポリタン大学は(一社)いきいきゴエス協会の運営です。
コメント