世界中で Well-beingウェルビーイングに注目が集まっています。
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「しあわせ」と翻訳されることも多い言葉ですが、「しあわせ」と少し違うのは、ウェルビーイングがより多くの課題を解決するからです。
しあわせであることがしあわせであるための課題を解決するので、世界の注目になっています。
ウェルビーイングにはSPIREモデル,PERMAモデルがあり、どちらも5つの要素からなるウェルビーイングを高める「しあわせの物差し」です。
ギャラップ(GALLUP)社が提唱するウェルビーイング
SPIREモデルとPERMAモデル。2つのモデルにはお金のことが要素になっていませんが、毎年各国・地域において世論調査を行い、ウェルビーイングに関する調査に役立つデータを提供し続けているギャラップ(GALLUP)社が提唱するウェルビーイングの指標にはファイナンシャルウェルビーイングが5つの要素のひとつに組み込まれています。
ギャラップは、ウェルビーイングの指標として、下記の5つを示しています。
- Career well-being(キャリア ウェルビーイング)
- Social well-being(ソーシャル ウェルビーイング)
- Physical well-being(フィジカル ウェルビーイング)
- Community well-being(コミュニティ ウェルビーイング)
- Financial well-being(フィナンシャル ウェルビーイング)
ギャラップ社のフィナンシャル ウェルビーイング
ここでのフィナンシャルは、経済的に幸福であることを意味し、経済的な満足度を指します。
大金持ちの状態ではなく、生活していくために十分なお金が手元にあり、将来に向けた資産を管理運用できていること。つまり不安なく人生を歩むための効果的な資産運用ができているか、満足できる報酬を得られているかといったことが該当します。これは、収入の多さという尺度だけではありません。人は自分のためよりも、他人のためや慈善団体への寄付にお金を使うと幸福を感じることが分かっています。また、物を購入するよりも、外食や休暇などの体験を買うとフィナンシャル ウェルビーイングが高まります。
経済的しあわせな状態を維持するには、お金の整理整頓、つまりお金のゴエス(①整理②整頓③清掃④清潔⑤習慣)が自分でできる必要があります。特に税制との付き合いは大切です。
税制上、収入は性質ごと区分されています。そして、その区分ごとに課税の方法も異なります。例えば、会社員が受け取る給料は「給与所得」に分類されます。収入が給与所得だけの場合には区分を意識することはないでしょう。しかし、すでにはじまっている、いくつかの区分から収入を得ている状態なら、ひとつの区分からほかの区分の赤字が差し引けます知識は身につけておく必要があります。
給与所得だけなら所属する会社の経理部で管理されますが、複数になると自分で管理しなければならず「損益通算」ができなければなりません。「損益通算」は、利益と損失を相殺する税制です。この制度を利用すれば、余分な税金を払わなくて済みますが、少し分かりにくいのが難点です。
総合課税と分離課税
所得税の課税方法は、「総合課税」と「分離課税」とに分けられます。
総合課税
利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・譲渡所得(土地建物等・株式等の譲渡所得以外)・一時所得・雑所得。
分離課税
譲渡所得(土地建物等)・譲渡所得(株式等)・山林所得・退職所得・先物取引による所得が分離課税対象です。但し、譲渡所得は総合課税・分離課税双方にあるのでご注意ください。
なぜ分離課税するのか
そもそも、どうして「分離」するのでしょう?
所得は、給与・配当・一時所得など、お金が入ってきた理由ごとに区別します。
区別することで、収入によって決められた算出方法で所得を決定する仕組みになっています。
では、総合課税と分離課税の違いは何でしょうか?
税制上の原則は総合課税なので、分離課税は例外になります。
例外である分離課税が存在するのには理由があるからです。
総合課税と分離課税の違いは、収入の理由によって税率が違うからです。
ひとことでいうと、似たような理由によって所得を合算したものに税率を乗じることを総合課税。
収入の理由が違うので、個別に税率を乗じることを分離課税といいます。
個別に税率をかける「分離課税」
所得の合計金額に課税する総合課税とは別に、分離課税は、土地や建物、山林の譲渡や退職所得など、高額になりやすい所得が多いのが特徴です。所得が多いと税率も上がるというのが日本の税制なので、一時的な特定の高額所得に対してそれぞれ単独の計算式で課税分離して計算してあげましょうという措置が分離課税の主旨なのです。
退職した人が不動産経営をしていて、退職した年に赤字が発生したり、退職後にはじめた事業の所得が赤字になったりしたなどの場合、確定申告で退職所得と損益通算が可能です。
分離課税は確定申告した方が得になる?
分離課税には「源泉分離課税」と「申告分離課税」があります。
「申告分離課税」では、一部の所得に関して他の所得とは別に各所得区分で税額を計算し確定申告を行います。
「申告分離課税」の税率は、所得税の計算で原則使用することになっている税率よりも低い場合が多く、利益と損失を相殺できる「損益通算」も利用できるので、ケースによっては分離課税制度を利用したほうが得になることもあります。
損益通算の手順
先述したように、利益から損を差し引く(通算する)ことが「損益通算」です。
損益通算のポイントは、まず総合課税、分離課税各々のなかで通算するという大原則があります。
損益通算できるのは「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の4つです。(フジサンジョウ」と記憶するヒトも多いようです)
損益通算の手順はいくつかの段階に分かれていますので、順番に見ていきます。
①第一のグループ:不動産所得と事業所得の損失。
利子所得・配当所得・給与所得・雑所得から「不動産所得と事業所得の損失」を差し引くことができます。
②第二のグループ:総合課税の譲渡所得の損失。
一時所得から「譲渡所得の損失」を引くことが可能です。
ここでいう譲渡所得には、分離課税のものは含まれませんのでご注意ください。
③第一のグループと第二のグループ内で通算後、なお損失があれば他グループとの通算できます。
例えば、第一グループで300万円のプラス、第二グループで100万円のマイナスという場合に、2つを通算(300ー100)してプラス200万円とすることができます。
山林所得と退職所得:2つのグループを集計した後もまだ損失があれば、山林所得、退職所得の順に通算できます。
損益通算の例外
「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」であっても、損益通算の対象外となる場合があるので注意してください。以下のようなものは損益通算できません。
総合課税の譲渡所得の例外
・生活に通常必要ない資産で、価格が30万円を超える資産(例:宝石・ヨット・絵画・ゴルフ会員権など)
・生活用動産を譲渡したことによる損失(車などのように、元から非課税なものは「対象外」です)
・マイホーム以外の土地建物の譲渡損失
不動産所得の例外
・不動産所得のうち借入金利子(借入金は、元から所得の「対象外」です)
損益通算の考え方
①損益通算の基本は、総合課税と分離課税の理解にはじまります。
②損益通算には順番があることの認識です。
1)グループ内で利益と損失を相殺
2)次に他グループで相殺し、
3)最後に山林所得や退職所得と相殺する、
以上、3段階の手順があります。
また、通算できる所得であっても、譲渡所得の例外と不動産所得のうち、土地等の取得に要した借入金利子があることを覚えておきましょう。
退職所得の計算方法
◎ 退職所得を申告する場合は、次の式で計算します。
● 一般退職手当等(特定役員退職手当等以外の退職金)のみの場合
(一般退職手当等の収入金額-退職所得控除額※1)×0.5
● 特定役員退職手当等(役員等としての勤続年数が5年以下である方が支払を受ける退職金のうち、その役員等としての勤続年数に対応する退職金として支払を受ける退職金)のみの場合
特定役員退職手当等の収入金額-退職所得控除額※1
●一般退職手当等と特定役員退職手当等の両方がある場合(+)
なお、次の(1)又は(2)に当てはまるときは、上記によらず次によります。
(1) A<Bのとき
(特定役員退職手当等の収入金額+一般退職手当等の収入金額)-退職所得控除額※1
(2) C<Dのとき
{一般退職手当等の収入金額-(退職所得控除額※1-特定役員退職手当等の収入金額)}×0.5
- 退職所得控除額は、次のとおりです。
●勤続年数が20年までの場合
40万円×勤続年数(80万円より少ないときは80万円)
●勤続年数が20年を超える場合
70万円×勤続年数-600万円
障害者となったことにより退職した場合は、上記で計算した金額に100万円を加算します。 - ※2 特定役員退職所得控除額は、次のとおりです。
●特定役員退職手当等に係る勤続期間と一般退職手当等に係る勤続期間の重複がない場合
40万円×特定役員等勤続年数
●特定役員退職手当等に係る勤続期間と一般退職手当等に係る勤続期間の重複がある場合
40万円×(特定役員等勤続年数-重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2018/a/01/1_14.htm|国税庁
まとめ
総合課税
利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・譲渡所得(土地建物等・株式等の譲渡所得以外)・一時所得・雑所得のことです。
損益通算のポイント
総合課税、分離課税。それぞれのグループのなかで通算するという大原則があります。
グループ内で利益と損失を相殺した次に他グループで相殺し、最後に山林所得や退職所得と相殺します。
損益通算できるのは「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の4つです。
自由で豊かな人生が過ごせるように、ファイナンシャルウェルビーイングを高めていきましょう。
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